OCA TOKYO BLOOMING TALKS 000

リアルな場所に必要なもの

Released on 2021.06.14

OCA TOKYO 限定WEBメディア

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

長きにわたり、大手町、丸の内、有楽町(通称:大丸有)をはじめ、大阪梅田エリアなどの都市開発とエリアマネジメントに携わってきた廣野。このたびOCA TOKYOの館長兼総支配人として、時代にふさわしい求心力のある「場」をコーディネートしていきます。 そんな彼の思いとは? OCA TOKYOの5階シアターにて、柔和な口調で話が進みます。

── 早速ですが、一つひとつ柄が違うシートがとても印象的ですね。 ありがとうございます。多様性があって良いと思いませんか? シアターにある席のファブリックは、OCA TOKYOの開業にあたって、メンバー募集やイベント開催にご協力いただいているボードメンバーにそれぞれ好きな柄を選んでいただきました。このクラブが大切にしたい“遊び心”を表現したものになっています。コロナ禍でリアルな場を共有する機会が少ない中、ボードメンバーとの最初の共同作業でしたがこうした取り組みを楽しむ皆さんの姿勢が嬉しかったですね。

── ボードメンバーについて、どのような印象をお持ちですか? 正直に言うと、最初は「それぞれ第一線でご活躍されている方々にご協力していただけるのか、私で大丈夫か…」という気持ちがありました。私のような一介のサラリーマンが、各業界を牽引している方々とどう向き合えばいいのだろう…? という緊張感はありました。それでもまずは、一人ひとりにお会いして人となりを吸収させていただこうという思いがありました。

── 実際に顔を合わせみていかがでしたか? コロナ禍だったため、皆さんとの初対面はオンラインでした。移動を伴わず効率的でしたし、少人数での画面を通したコミュニケーションでしたので、思いのほかフラットに対話ができたのは良かったですね。皆さん、とても感性が豊かで驚きました。その後、お会いする機会をいただきましたが、話は尽きないしチャーミングな方が多かったです。改めて素晴らしい方々とご一緒する実感が沸きましたし、今後もこの方々と様々な活動ができる予感がしました。

── オンラインとリアルのそれぞれの良さを感じます。 COVID-19の影響がなければ、普通にお伺いして面談していたと思います。席に通されてしばらく待って、ドアが開いて先方が来る…。おそらくもっと緊張した初対面になっていたかもしれません。そういった緊張感がなかったことは良かったですし、他にも朝10時に東北の方と1時間ほど喋って、11時からは四国の方と話ができるといった、リアルではそんなスケジュールで動けませんが、オンラインならではの効率性を認識することができました。

── 丸の内再開発とOCA TOKYOとの関係性について教えてください。 私は約30年以上、丸の内の再開発に関わってきました。最初はオフィスが9割で商業その他が1割だったものを、建て替えるたびにオフィス7割、その他を3割にしていきました。この7:3というのは、我々が見出した都市開発における黄金比です。ニューヨークのミッドタウン、ロンドンのウエストエンドがまさにこの比率でミクスドユーズされているんです。この比率で丸の内をビジネスだけの単一機能型から複合機能型のエリアに変えていき、企業のみならず来街者が集まりたくなるエリアを創ろうと動き始めました。2002年に丸ビルを建て替えてから10年間で、週末の来街者数は従前の約3倍、平日も3割増しくらいになりました。OCA TOKYOというプロジェクトは、その延長線上にあると同時に、第四次産業革命を見据えた街づくり、場の再定義という新しいテーマもあります。

── 「場の再定義」というテーマは、どのような背景から生まれたのでしょうか? 今年はCOVID-19の影響で社会全体のDXが急加速し、テレワークの導入が進みました。世の中も働き方やオフィスの在り方が見直されつつあると感じます。しかしそれらの変化はすでに予見していたことで、OCA TOKYOは、コロナ禍になる前から着手していたプロジェクトです。これから第四次産業革命によって、様々なものがリアルからデジタルに置き換わっていく。そうなってきたときに、都市の空間はどうあるべきか? リアルな場に必要なものとは何か? という問いをもとに考えを整理していきました。ここ丸の内は、日本で最も便利でインフラストックが整っているところ。だからこそ、チャレンジできると考えたんです。

── そうした背景から誕生した「OCA TOKYO」には、どのような思いがありますか? まず「OCA」という名前には、鮮烈に人生を「謳歌」するという意味だけでなく、時代の変化に順応していく「応化」という意味も含めています。すなわち、時代の変化に順応し未来の価値づくりに意義を感じる方が集う場になればという思いがあります。
ところで皆さんは、丸の内に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか? 「日本経済の中心だけど、敷居が高い」、「大企業の街で入り込む余地がない」、「堅苦しくて退屈で縁遠い」などネガティブな声も聞こえてきそうです。そういったイメージを我々は変えていきたい。「オープン、インタラクティブ、ネットワーク」というキーワードを掲げて丸の内エリアの再開発を開始しましたが、それらをさらに充実させて、新しい時代に応化した丸の内のイメージを打ち出していきたい。その起点としてOCA TOKYOが存在感を発揮することで「丸の内にはOCAがあるよね」と認知され、人々の憧れになる拠点になれたら嬉しいです。

── リアルな場づくりを進める際に、大切にしていることは何ですか? オンラインがすごく便利で効率的な一方で、リアルな場でしかできないことは幾つもあります。その一つがセレンディピティ。いわゆる“偶然の出会い”です。町中で何かパーティーがあったとき、偶然そこで誰かと出会ってつながっていく。この拡がり方はリアルでなければ起こりえないことだと思います。特にオンラインとリアルの大きな違いは「感動」の大きさだと思います。例えば、2019年のラグビーW杯。家のテレビで解説を聞きながら観戦できるのに、わざわざ過密なファンゾーンに行って大型モニターで試合を観ながらビール片手に皆で盛り上がる。もっと言えばスタジアムに行きたいわけですよね。これはつまり「感動」を共有したい気持ちの表れだと思うのです。ですから“偶然の出会い”と“感動の共有”こそ、リアルな場づくりで大切なことだと思っています。

── 偶然と感動をコーディネートする場所。それが、OCA TOKYOとも言えますね。 まさにそうです。OCA TOKYOは東京駅から4分と至近。大丸有は28路線13駅と足回りも良くて、羽田へ29分、成田へ53分とどこに行くにも東京一便利な場所。そんな都市空間に何を仕掛けると面白いのか。そんな考えから結果として、働くだけに限定しない新しいライフスタイルを創造するプライベートクラブ構想に至りました。施設内には、レストランやバーを始めとし、こちらのシアターやジム、ライブラリーなど、様々なコンタクトポイントがあります。ここで生まれる偶然の出会いや感動の共有こそ、我々が提供したい体験です。また、力を入れていきたいのが、アートシンキングです。最近はこの領域を学ぶ人たちが増えてきているので、そういった人たちを刺激するためにも、若手作家を中心にアート作品を展示していきます。そして今後は、クリエイティブな人たちが育っていけるような仕組みも用意していきたいですね。

── どのような人たちに活用してもらいたいですか? OCA TOKYOは、これからの新しい未来を創っていく場でありたいと思っています。そのためには、新しい未来を創る人が集う場になる必要があります。すでに成功を収めている方に限らず、自分の志を実現するべくプロアクティブに動いている方であれば、年齢性別、国籍を問わず大歓迎です。また、東京駅からすぐという立地の良さもあるので、地方で活躍する人たちの“東京の拠点”にしていただきたいという思いもあります。先に述べたように“偶然の出会い”によって起こるポジティブな展開を願っていますので、人と関わることが好きな人、社会に積極的に関与していく方に活用してもらいたいですね。

── OCA TOKYOは、若い方にも開かれたクラブですか? もちろんです。若くて才能がある人は多くいらっしゃいますし、彼らこそ、これからの第四次産業革命においては圧倒的にリテラシーが高く可能性を大いに秘めているわけです。そういう人たちが中心的存在として増えることでこの場所を活性化させてほしいと思っていますし、一方若い感性を吸収できる場を求めている方もいらっしゃるはずです。若い人にとってOCA TOKYOは、人生経験が豊富な先輩たちと出会うことで、示唆に富んだ気づきが受けられる成長の場になるかもしれません。年代やキャリアを問わず多様な方が交流することで、双方にとって価値があり、シナジーが生まれる場所になってほしいと願っています。

── 読者(メンバー)へ向けて、最後にひと言メッセージをお願いします。 OCA TOKYOは、開かれたプライベートクラブを目指しています。ここに来てもらう皆様に、新しい驚きと感動を与えていきたいと思っていますので、皆様にお会いできることを楽しみにしています。

廣野 研一

館長 兼 総支配人

1983年、三菱地所株式会社入社。1989年より大丸有(大手町・丸の内・有楽町)、2011年よりグランフロント大阪のエリアマネジメント組織の立ち上げから運営までを手がける。本業の傍ら、講演や執筆のほか、大学で非常勤講師を務める。趣味はロードバイク、ゴルフ、音楽鑑賞、DJなど。

Archives