OCA TOKYO BLOOMING TALKS 002

「食」のエンタメ化と未来

Released on 2021.06.30

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

世界的にも食のトレンドが変化している昨今、得意分野の外食&お取り寄せグルメに加え、自身のレシピ本の出版や総務省の地域力創造アドバイザーへの就任など、食に関する活躍の幅をますます広げているOCA TOKYOメンバーのフォーリンデブはっしーさん。食のエンタメ化をテーマに、グルメエンターテイナーとして様々な企画開発と情報発信をするはっしーさんに、活動の根底にある想いや、食の未来についてお話を伺いました。

食は、最強のエンタメコンテンツ。

── 最初にグルメエンターテイナーとしての活動を始めたきっかけについて教えてください。 新卒で電通に就職して、名古屋支社に配属された頃の話です。職場の先輩は厳しく、仕事もなかなかうまくいかず、当時は肉体的にも精神的にもかなり追い込まれていました。そんなときに『味仙』という名古屋で有名な台湾料理のお店に行ったのですが、名物の台湾ラーメンや青菜炒め、肉団子などを食べていたら、自然と元気になって「ツライけど明日も会社に行って頑張るか!」と、前向きな気持ちになれたんです。その時に、食には無条件に人を応援してくれるパワーがあることを実感。当時の自分のように人生をもがいている人も含めて、多くの人たちに食を通じて笑顔になってもらいたいという想いから、食に関する活動を始めました。

── 情報発信するうえで意識していることは何でしょうか? ブログをスタートした当初から、インスタグラムや動画になった今も変わらず意識しているのは、見てくれる人たちに寄り添った情報を届けること。僕自身が美味しいものを食べるのがゴールではなく、見てくれた人が実際に来店したり購入したりして、自分と同じ体験をしてハッピーになってくれることをゴールにしています。だからこそ、予約が数ヶ月待ちのようなお店ばかりではなく、気軽に利用できるお店をピックアップするようにしていますね。クチコミサイトで3.0〜3.3くらいの総合点が低いゾーンに、まだ知られていない名店が眠っているという持論もあり、穴場店を自分で開拓して紹介するのも好きです。

── はっしーさんが掲げる“食のエンタメ化”には、どのような想いがあるのですか? 食というのは、誰でも気軽に楽しむことができて、自然と笑顔にもなれる。これほどシンプルでわかりやすく、最強のコンテンツは他にないと思っています。と言うのも、「食」はいろいろな他ジャンルとの掛け合わせも可能だからです。
例えば、130万人が来場する日本最大のイベント「東京モーターショー」ではグルメ総合プロデューサーを3期連続で務めさせてもらいましたが、これは「食」と「車」の掛け算によるエンタメです。“車で行きたい全国の名店が集結”のように親和性を持たせられれば、それをキッカケに興味喚起ができ、間口を広げることもできます。自分の活動は単に食の情報を発信するだけでなく、企画、制作、実施、発信に至るまでをワンストップで解決できることが強みでもあります。

コロナ禍以降の「外食」と「中食」。

── コロナの影響で飲食業界が大きなダメージを受けていますが、ご自身の活動に影響はありましたか? イベントが中止になるなど少なからず影響はありましたが、何よりも、多大な影響を受けている飲食業界全体を応援したい気持ちがさらに強まりました。コロナ禍では、飲食店のお取り寄せグルメやテイクアウト、デリバリーといった「中食」の発信が多くなりましたが、これも自分なりに飲食店の手助けになればという気持ちからでした。

── 「中食」はコロナ禍以降のトレンドにもなっていますよね。 コロナの影響に関わらず、外食市場自体ここ数年は全体的に右肩下がりで、中食市場は右肩上がりという状況だったので、以前から外食市場が中食市場に歩み寄る必要性を感じていました。店内収益だけではなく、いかに店外でも収益を上げるか、それによって飲食店の経営バランスが保たれると思っていました。ですので、実はコロナ前から、とあるアプリ会社と一緒にテイクアウトやデリバリーを日本に浸透していくための取り組みに力を入れていたんです。外食と中食を対立項とせず、外食ならではの美味しさと世界観を、中食でも楽しんでもらえるような取り組みを今後も行なっていきたいですね。

── 「中食」も「外食」も自由に選びましょう、という思いが根底にあるのですね。 その通りです。そもそも今は多様性の時代であって、各々が自由に食を楽しんでほしいと思っています。言い換えれば、「食はこうあるべき」「食文化はこうあるべき」という凝り固まった概念は持っていませんし、あまり好きな考え方ではないです。人それぞれのライフスタイルに合わせて、食をカスタマイズして楽しむ。何かに固執して否定するのではなく、新しいカルチャーを認めて、共存共栄していくことが大切だと考えています。

── 消費者から選ばれるためにお店側が考慮すべきことや、はっしーさん自身が意識していることがあれば教えてください。 今は、良くも悪くもSNS時代です。情報が瞬く間に広がって注目を浴びやすくなった反面、目立たないとそのまま埋もれて消えていってしまう可能性もあります。そういった意味でも「エンタメ化」は重要で、キャッチーで魅力的かつ効率的に情報を伝えていく努力が必要です。そのための表現方法や戦略を、企業や自治体などと連携を取りながら考えていくことも、僕の使命のひとつだと感じています。

人と食との、サステナブルな関係性。

── 食の選択肢ともつながりますが、最近ではプラントベースドミート(植物由来の肉)などもトレンドのひとつです。このような新たな食に関してはどのようにお考えですか? プラントベースドミートについては、僕自身もとても興味があって研究しているところです。少し前までは正直あまり美味しくないと感じていましたが、最近では言われなければ植物由来とはわからないような肉料理やファストフードなど、美味しいものも増えてきています。例えば、池袋にある『The Vegetarian Butcher』で食べたハンバーガーは、言われなければ本物のお肉かと思ってしまうくらい驚きがありましたね。

── 今後、プラントベースドミートにはどういった可能性があると感じますか? 個人の思想による選択は別として、健康面でどうしてもお肉を食べられない方などが、プラントベースドミートを選ぶことによって、お肉を食べている感覚を味わえるのはとても素晴らしいことだと思います。あとは「今日はちょっと胃を休めたいな」という理由で取り入れるのもいいですよね。また、少し視点を変えると、プラントベースドミートはサステナビリティに貢献できる新しい食でもあります。食べることが好きだからこそサステナブルな視点で、人々が食と中長期的に付き合っていくためにどうすべきかを考えることは、今後より重要になっていくと思います。

── 世界的に食のスタイルが変わりゆく中で、日本の食文化は今後どのように変化していくと捉えていますか?国内外の飲食店を広く見ていると、和食×フレンチ、ベトナム料理×中華といったイノベーティブなカテゴリーが生まれています。食材、料理のジャンル、国境も含め、これまで以上に様々な垣根がなくなっていくと思いますし、そうやって新しい食文化や魅力が生み出されていくのではないでしょうか。一人のご飯好きとして、多種多様な食文化が生まれ、それを各々が自由に楽しむことができる時代になっていくことを期待しています。

新たな「掛け算」を、この場所で。

── これからのOCA TOKYOに期待していることを教えてください。 僕は自分のことをメンバーの中ではかなりの変わり種だと思っていて(笑)。ですので、OCA TOKYOでの出会いを通じて楽しい化学反応を起こしていけたらいいですね。情報発信するからにはクローズドよりもオープンに広げたいという考え方なので、価値観を共にできる人とつながって、新たな拠点のひとつとして活用できたら面白いと思っています。

── 内々で楽しむためだけの場にはしたくないとも言えますか? そうですね。バックボーンが違う人たちがひとつの場に集まるからこそ、その組み合わせの数だけ新しい価値や体験を生み出して、世の中に広げていける可能性がOCA TOKYOにはあると感じています。例えば、私は医療関係に詳しくないですが、医療関係のスペシャリストのメンバーから「病院食に課題を感じている」という相談があれば、自分の食に関する知見とネットワークを活かして、新しい病院食を世の中に生み出していくというアクションが起こせるかもしれません。そうやって、自分にはない知見を持つ方々とこの場所で交流しながら、ユニークな掛け算を試みていきたいですね。

── 最後に、はっしーさんにとって「食」とは何ですか? 「食べること」とは「カロリーを摂ること」。そしてカロリーとは、和訳すると「熱量」です。つまり僕たちは、食べることで人生の「熱量」を得ているわけです。暗いニュースが多いご時世ですが、誰もが前向きに明るく楽しく頑張れるような「熱量」を、「食」を通じて届けていきたいですね。もしも僕がOCA TOKYOの食のコンテンツを考えるのであれば、ここに集まる人たちの偶然の出会いや交流につながるような演出も盛り込みたいです。その場の誰かと違和感なく自然に食卓を伴にできたり、料理をシェアできる仕組みがあったり、一緒に作りながら食べられたり。自然とコミュニケーションが生まれる食体験ができると、OCA TOKYOらしさのある食のエンタメになるかと思います。

フォーリンデブはっしー

グルメエンターテイナー

本名:橋本陽。お肉博士とお米ソムリエの資格を持ち、年間1000軒を食べ歩きながら、食の情報発信や企画開発を手がける。フォロワー数が約27万人のインスタグラム と、月間200万アクセスを記録したブログが人気。農林水産省の国産食材アンバサダー、総務省の地域力創造アドバイザーなども務める。2020年に電通から独立。2021年4月、UUUM株式会社の「食の顧問」に就任。決めゼリフは、デブリシャス!

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