OCA TOKYO BLOOMING TALKS 007

ブランドは人生に貢献する

Released on 2021.08.02

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

LVMHジャパンの代表を務め、OCA TOKYOメンバーのノルベール・ルレさんは、1つのシンプルな考え方を大切にしています。それは、日頃のファッション、ブランドビジネス、そしてライフスタイルにも貫かれていました。今回のインタビューでは、その考え方に迫りながら、日本に対する思いやOCA TOKYOへの期待についてお話していただきました。

「C・P・I」で在り方をつくる。

── ルレさんは紺色がお好きと聞いていましたが、今日も素敵な紺のスーツをお召しでいらっしゃいますね。 ありがとうございます。私にとって服は言葉と同じで、それ自体がメッセージになります。今日はエレガントな印象で取材を受けたかったので、ディオールのネイビースーツ、ブルーのシャツ、ブルーのネクタイ、ブルーの靴と色味を統一しました。他にも、天候や気分、その日のミーティング、ディナーの相手といった状況によって変えたりするのですが、その際に私はいつも「C・P・I」という考え方を大切にしています。Conservative、Progressive、Innovativeの3つの頭文字を取って「C・P・I」です。

── とても興味深いキーワードですね。いつもどのように意識されているのでしょうか? 例えば、今日の服装はコンサバティブですが、このスタイリングをベースにプログレッシブな要素を加えたいときは、ネクタイを赤色にするといった遊びを入れていきます。また、イノベーティブなイメージを持たせたいときは、スーツにスニーカーを合わせたり、ノーネクタイにしたり。きっとビジネスシーンよりもプライベートな印象に近づくかもしれないですね。このようにして「C・P・I」を意識しています。

── ファッション以外でも「C・P・I」は意識するものでしょうか? 例えば、ブランドビジネスに関してだといかがでしょうか? 考えるテーマが何であろうと「C・P・I」は大切です。ブランド戦略を考えるときも同じように意識します。そもそもブランドには、DNAというものがありますよね。タグ・ホイヤーなら、スポーツの時計から始まっていること。ルイ・ヴィトンであれは、旅用の鞄を作っていたこと。これらのDNAを尊重した戦略はコンサバティブだと言えます。しかし、当然ながらそれだけではブランドビジネスは成り立ちません。時代に合わせて変化を起こし、未来を創造することも重要です。つまり、プログレッシブやイノベーティブな要素が必要になってきます。特にアイデアは、必ずイノベーティブでなければなりません。デザイン、素材、テクノロジーなど、常に革新的な視点が不可欠なのです。

変わらない価値を、時代に合わせて届ける。

── ブランドには変わらないDNAがある一方で、時代に合わせて進化していく必要がある。その進化のアプローチを考えるうえで「C・P・I」の意識が大切なのですね。 そうです。その時々で、どのようなバランスの「C・P・I」で戦略をとるのか。ルイ・ヴィトンが定番の旅行鞄を作り続けることもあれば、視点の違う鞄を届けることもあるでしょう。前者はコンサバティブな戦略だし、後者はプログレッシブです。あるいはもっと、前衛的なデザインのプロダクトを発表するような、イノベーティブな戦略をとることもあります。それぞれアプローチは違いますが、ブランドのアイデンティティは変わりません。国や地域によって変えることもしないですね。

── ルレさんが代表を務めるLVMHには数多くのブランドがありますが、何か共通していることはありますか? すべてのブランドに共通するのは、心を豊かにする価値を届けていること。ファッションや時計は毎日の気分を彩るとともに、相手に対し自分がどんな人間かを示すメッセージになります。香水は、目に見えない雰囲気を纏わせてくれますし、シャンパンは、祝福のひとときを演出してくれる。それぞれのブランドを通じて、誰かの人生に貢献していると思っていますし、そこが最大の魅力だと感じています。

── ラグジュアリーブランドは、人の気持ちを高め、日常を上質にする役割があるんですね。 さらに言えば、モノ自体の品質が高く、変わることのない価値を持っていることで何十年という長い歳月をかけて愛していくことができます。時にひとりの人生だけでなく、親から子へと引き継がれながら人生に寄り添うことができる。そんなラグジュアリーブランドが大好きですし、非常にサステナブルな存在であると捉えています。

自信を持って、楽観的に。

── フランス出身のルレさんから見て、日本はどのような国に映りますか? 個人的に大好きな国でもある日本は、世界に誇れるハイパークオリティの国だと思います。特にカスタマーサービスが素晴らしく“日本人らしさ”が表れている。この印象は、初めて日本を訪れたときからずっと変わりません。日付まではっきりと覚えていますが、1981年の7月11日。上智大学のサマークラスへ通うため来日したのですが、初日から感動しました。日本の皆さんはとても話しかけやすく、誠実で、約束を守ってくれる。基本的に治安が良く、レストランはどこも美味しい。とてもいい国だと思いました。一方、日本でビジネスをしている人間としては、その日本人らしさが課題になってしまうことも、しばしばあるように感じます。

── どういったところに課題を感じるのですか? 良くも悪くも日本には、最初から“Best of the Best”しか目指さない文化がある。極端に言うと、ベスト以外は全部ダメだと思っているところがある。そんな意識があるからなのか、意志決定が不明瞭になったり、プロジェクトの進み具合が悪くなったり、いつまでも動き出せないところがあります。ベストを突き詰めることよりも、スピードアップすることを選択していい状況だってある。「今やるべきなのはこれ」「この状況ではこうしよう」という柔軟性が大事です。「C・P・I」を思い出してください。今日はコンサバティブ、次はプログレッシブ、その次はイノベーティブ…。その時々で違う「現実的なベスト」があること。それを意識するだけでも、もっと日本は成長していけると思います。

── 今の日本は元気がないとよく言われます。ルレさんが初めて来日した頃と比較してどう思われますか。 確かにそうかもしれません。80年代の日本は、上り調子の空気がありました。誰もがポジティブで、オプティミスティック(楽観的)。「留学したい」「海外に行きたい」「新しいことがしたい」と前向きな願望を口にしていたように思います。今は、大きな地震を経験したことや、世界的なパンデミックの影響もあって、社会全体が未来への不安を抱いているのではないでしょうか。

── 私たちは、今後どうしていけばいいのでしょう? 災害も、パンデミックも、不景気も、確かにネガティブなこと。だからこそ、自分たちの国の強みを理解し、自信を取り戻していきましょう。日本は、素晴らしい国民性とハイパークオリティの国です。小さな島国だという人もいますが、ヨーロッパと比較してみてください。その国土は、アムステルダムからセネガルくらいまである。広いでしょう? ちゃんとアセットを持った国です。だから、暗く考えすぎないで、もっと前向きな未来を考えてほしいですね。私は皆さんに「目を覚まして!」と“Positive call”をしていきたいと思っています。人生は楽しく、世界は悲しくない。その大前提を心に留めて。日本の皆さん、もちろん世界の皆さんも、楽観的に行きましょう。Be optimistic!

東京の真ん中から、新しいスタイルを。

── ルレさんのおっしゃる「C・P・I」で、OCA TOKYOを評価してみてください。 OCA TOKYOには「C・P・I」が詰まっています。コンサバティブという点では、丸の内という立地がそうです。また、隠れた場所として運営することはプログレッシブなアプローチですし、ビジネスではもちろんプライベートでも利用できるところはイノベーティブだと感じます。さらにアートという刺激もあっていいですよね。丸の内再開発の一環として捉えても、OCA TOKYOは、非常に個性的でシンボリックな存在になっていくのではないでしょうか。

── ご自身では、OCA TOKYOをどのように活用していきたいですか? 私はインタビューを受けている、まさにこの場所がお気に入りです。特にこの紺色のソファは大好き! あまりにも居心地が良いので、正直ここに住みたいくらい(笑)。以前館内をひと通り案内してもらってこの場所を見た瞬間、使っているシーンが想像できました。近々ここで、社内メンバーとミーティングをする予定です。また、美味しい食事や様々な機能によって、メンバーの人生を豊かにしてくれる空間だと感じます。ビジネスでもプライベートでも、今までの自分になかった新しいスタイルでOCA TOKYOを楽しみたいですね。

ノルベール・ルレ

LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン株式会社

日本でフランス大使館大阪領事館勤務の後、ロイヤル・ダッチ・シェルグループ、日本キャンピングガスを経て、1997年にケンゾー・ジャパンのマネジング・ディレクター、社長を務める。2003年にアシェット婦人画報社社長、2006年にザラ・ジャパン代表取締役兼CEO、2016年より現職、代表取締役社長に就任。

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