OCA TOKYO BLOOMING TALKS 016

密度の高い生き方を求めて

Released on 2021.10.28

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

真冬の夕刻が近づく丸の内に、颯爽と現れたOCA TOKYOメンバーの権藤嘉江子さん。欧州ラグジュアリーブランドをはじめ、様々な業界でマネジメントを経験してきた権藤さんは、その輝くキャリアにふさわしい凛とした印象。インタビューでは終始明快に、ときに遊び心があるお答えをいただき、明るくポジティブなお人柄を感じました。

進化は、変化の先に。

── これまで次々と新しいキャリアを切り開くなかで培われた価値観や、貫いてきた信条を教えてください。 「変化は進化である」です。変わり続けなければ進化はなく、進化なくしては企業活動を続けていくことはできないと実感しています。マネジメントに携わるようになってから15年ほどになりますが、特にこの10年はあらゆる分野で変化のスピートが加速していると感じます。顧客のニーズも従業員の働き方も。今まではこうだったから、という考えは通用しないため、会社の方針も躊躇なく変えていかなくてはいけません。

── 変化というと、OCA TOKYOのある丸の内はずいぶん変化したと思いませんか? 実は、大学卒業後に務めた金融機関の入社式は丸の内でした。丸の内は、まさに私のキャリアのスタート地点。そして、丸の内勤務も3年ほど経験しました。当時の丸の内は、代わり映えしないオフィスビルが立ち並び、夜になると真っ暗な街にオフィスの窓明かりだけが灯っている。そんな印象でした。気分転換できる場所といえば、地下に居酒屋や赤ちょうちんがあるくらい。それが今や気分の上がる街になりましたね。歩いていると、素敵なレストランやブティック、そして珍しいイベントを発見したり、仲通りではアート作品との出会いがあったり。こんな発見と驚きのある街に、よくぞ変わってくれたと思います。

変わるものと、変わらないものと。

── 変化についてお伺いしましたが、逆に権藤さんの中で変わらないものはありますか? 「柔軟性」と「効率」、そして「バランス」です。この3つを追い求める姿勢はずっと変わっていません。アメリカの高校に留学したときから、言語はもちろん異なる環境やシステムに柔軟に適応していくことを学んでいたような気がします。柔軟性がないと変化もできないため、マネジメントにおいても柔軟性は大切です。そして、効率も私の大きなテーマ。「時間は限られているから有効に使わないともったいない」という意識が強く、効率的に動くことを常に考えています。運動する時間もつくりたいですし、友達と会う時間も貴重です。だからこそ、バランスが大事。欲張りかもしれませんが、バランスをとりながらいろいろなことをやっていきたいと思っています。

── 経営者としての自分、人間としての自分といったバランスも大切ですよね。 おっしゃる通りです。心と体のバランスを最も大事にしています。マネジメントにおいても特に人を動かす仕事は難しく、ときに人との関係で心にドーンと衝撃が来ることもあります。それを緩和させてくれるのが、私にとっては体を動かすこと。ゴルフ、ランニング、トライアスロン、水泳などいろいろやります。とりわけ心が沈んだときは、泳ぎに行くことが多いです。すべてを水に流せる気がして。泳いだ後、気の置けない友人たちと好きなお酒を飲んで語らえば、さらに心が軽くなります。一方で、月に数日は化石になる日もあります(笑)。その日は家から一歩も出ません。これもバランスをとるための大切な時間ですね。

── なんだか「バランス」は、人生のキーワードと言えそうですね。 そうですね。生き方に限らず、「モノ」に関してもバランスを感じさせるものが好きです。例えばMac。高校時代から縦型のマッキントッシュを使っていて、今に至るまで大のMacファンです。クラシックな雰囲気のデザインとデジタル、その融合がいい。ブランドで惹かれるのはカルティエです。クラシックでありながらモダンで前衛的。時代の変化をデザインに反映させつつも、そのなかに普遍的な価値がある。ビジネスも同じです。変えていくべきものがあり、変わらないバリューも存在しなくてはいけないと思います。

── 今日は、そのカルティエを身につけてらっしゃいますね。 はい。人生のターニングポイントや節目、例えば転職するときや40歳、50歳の誕生日のタイミングなどにジュエリーを自分へのご褒美にしています。「よし、これから頑張るぞ」と自分を奮い立たせるためのもので、気持ちを新たにしたい日やここ一番という大事なミーティングのときなどに身につけています。

── 今日は、そのカルティエを身につけてらっしゃいますね。 はい。人生のターニングポイントや節目、例えば転職するときや40歳、50歳の誕生日のタイミングなどにジュエリーを自分へのご褒美にしています。「よし、これから頑張るぞ」と自分を奮い立たせるためのもので、気持ちを新たにしたい日やここ一番という大事なミーティングのときなどに身につけています。

刺激、チャレンジ、学び。そこに「謳歌」がある。

── ところで、金融業界からマネジメントの世界へとキャリアを移行させたきっかけは何だったのでしょう? アメリカの大学を卒業して日本に戻ってきたときは、ただ漠然と面白いことをしたいという思いはありましたが、やりたいことが明確ではありませんでした。そこで、お金について理解できれば社会や経済活動全体がわかるようになるのではと思い、まずは金融機関に務めました。そこで金融や経済について学びながら20代後半を迎えた頃、実は衝撃的な出来事が起きたのです。

── その出来事とは…? 私の父は、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)の監督だったのですが、そのベイスターズがリーグ優勝して日本シリーズでも日本一に。そのとき、頭をかち割られるようなスポーツの究極の興奮を目の当たりにしてしまいました。一年間闘い抜いた達成感。爆発的な喜びの共有。そういう感動のど真ん中に一緒に居させてもらいました。チームメンバーや球団スタッフ、番記者の方々とも交流していたので、私も運命共同体みたいになっていたのです。そんな突き抜けるような高揚感を体験してしまったら、もう元の生活には戻れなくなり、もっと刺激のあることを、もっと人やモノやコトに近い仕事を追い求めるようになってしまったのです。そうして外資系ラグジュアリーブランドに転職したのが今の流れの始まりです。その後は、チャンスをいただいたり、声をかけていただいたことにチャレンジしてキャリアを重ねてきました。

── 多様なキャリアを積み重ねている権藤さんは、状況に「応化」し、人生を「謳歌」しているように見えます。 最初の仕事は金融というフィールド、その後ラグジュアリーブランドや健康食品・美容関連の仕事でBtoC、現在はパッケージングを供給するBtoBの仕事。ビールの6缶パックを作っていて、日本ではシェア約8割、アジア全般で海外メーカーとの取引もあります。これまで、そのときどきの仕事に自分を適合させてきましたから、OCA TOKYOの掲げる「応化」というコンセプトはしっくりと馴染むんです。そして、様々な業界で学びのチャンスをいただけたことが、人生を「謳歌」することにつながっています。私は、鈍感力が高いのか怖いもの知らずなのか、新しいことにチャレンジするのを楽しめるタイプ。知らなかった分野への理解が深まるにつれ、その仕事がどんどん面白くなっていくんです。知的好奇心をかき立てられるというか。結果として、人生を「謳歌」している自分がいます。

── 学ぶことで進化し、そして人生を「謳歌」しているのですね。 そうですね。最近は、これまでの「点」としての見識が自分の頭の中でつながっていき、それがどんどん「線」になっていっている感覚があります。例えば、今のパッケージングの仕事では、これまで縁のなかったビールや製紙業界、船会社の方々と話す機会があり、新たな知識や情報を得ることができます。業界絵図がわかってくると、ニュースを見ていても新聞を読んでいてもピースがはまるように全体像を捉えることができ、それまでより包括的な視野でビジネスについて考えられるようになる。これは大きな喜びです。一つひとつは些細なことですが、ピースがはまっていくごとに世界が広がっていくし、人生が楽しく豊かになっていくと感じています。

── 学ぶことで進化し、そして人生を「謳歌」しているのですね。 そうですね。最近は、これまでの「点」としての見識が自分の頭の中でつながっていき、それがどんどん「線」になっていっている感覚があります。例えば、今のパッケージングの仕事では、これまで縁のなかったビールや製紙業界、船会社の方々と話す機会があり、新たな知識や情報を得ることができます。業界絵図がわかってくると、ニュースを見ていても新聞を読んでいてもピースがはまるように全体像を捉えることができ、それまでより包括的な視野でビジネスについて考えられるようになる。これは大きな喜びです。一つひとつは些細なことですが、ピースがはまっていくごとに世界が広がっていくし、人生が楽しく豊かになっていくと感じています。

ホームとしてのOCA TOKYO。

── OCA TOKYOは、どんな場所であってほしいですか? まさに点が線になるような出会いがある場所、驚きや気づきが生まれる場所。そして理想は、一人で訪れることに違和感のない場所。お気に入りのバーには、一人で行けますし、寛ぐことができますよね。そんなホームのような空間であってほしいと思います。仕事帰りに気軽に足を運びたくなるバーがあったり「誰かいないかな?」と、ちょっと立ち寄りたくなったりするような、日常の中に溶け込んでいる場所というのでしょうか。それから、部活やサークルのような活動があると嬉しいです。私の場合、韓流映画の鑑賞会があれば喜んで参加します(笑)。

── OCA TOKYOで新しい出会いはありましたか? 実は、密かにファンだった方がOCA TOKYOのメンバーだったのです。まさか知り合いになれるとは思ってもみなかったので、びっくりするやら嬉しいやら。次はどんな出会いがあるか楽しみです。人を動かすことのできるのは人ですし、仕事をしていくうえでもカギとなるのは、やっぱり人。だから、いろいろな方と会って話をしてみたいと思っています。
父が大切にしている言葉に「運」があるのですが、父曰く「運という漢字は、軍にしんにょう。戦い続けていると運がやってくる」と。自分がポジティブな状態でいるとか、人と出会うチャンスをつくっているとか、声をかけられたときにそれに応えられる自分であるとか、そういった自分であり続けていると運がついてくる、ということです。つまり、運を必然にできるかどうかは自分次第。OCA TOKYOには、様々な分野で活躍していらっしゃる方々と出会うチャンスがありますから、ここで運がやってくるとハッピーですね。

権藤 嘉江子

グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社

米国ジョージタウン大学を卒業後、三菱銀行(現三菱UFJ銀行)、ブルガリ、クリストフル、LVJグループ社長室長を経て、エミリオ・プッチ カンパニーの代表に。現在、グラフィック・パッケージング・インターナショナル株式会社代表取締役社長兼アジア地域担当プレジデント。

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