OCA TOKYO BLOOMING TALKS 021

大切な仲間へのおもてなし

Released on 2021.12.10

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

今回対談するのは、OCA TOKYOメンバーで、会員制のオンラインサービスを提供するアルメル・カイエールさんと、OCA TOKYOでコンシェルジュサービスを提供する株式会社TPOのマニヤン麻里子さん。テーマは「おもてなし」について。フランス語での雑談から始まり、和やかなムードでお話が進んでいきました。

人間同士が、向き合うからこそ。

マニヤンさんのビジネスについて、以前から聞いてみたかったので教えていただけますか?

私が代表を務めるTPOという会社は、「ポジティブな方法で仕事に幸せを届けることで、日本の企業文化を変えていきたい」という思いで設立されています。クライアントの私生活をサポートするために、様々な場所でコンシェルジュメンバーが働いているのですが、おもに「私生活の負荷を下げ、充実させる役割」、「ネットワークづくりの橋渡しとなりダイバーシティを生み出す役割」という2つの柱を設けて、お客様の様々なニーズに応えています。

なるほど。例えば、どのような要望に応えてくれるのですか?

転勤先での家探しや子どもの学校探し、旅行プランを考える、レストランの予約をするなど、どんなことでも。一人ひとりのご要望に合わせたサポートをしています。

それは、すごく助かりますね。できる人にとっては簡単なことだと思いますが、私はプランを考えたり店を予約したりするのが苦手なタイプなので。

実は、私自身も同じような悩みを抱えていました。やるべきことがたくさんあるのに、手助けしてくれる人がいない。それを解決することにバリューがあると感じて、この事業を始めようと考えたのです。

とてもいいサービスだと思います。旅の予約も、エージェンシーを使えば簡単に手配できてしまいますが、「誰と行って、どんなことをしたいか」までは考えてくれません。一方で、私のニーズを真に理解してくれる人にお願いすることで、旅の質を格段に上げることができますしね。

OCA TOKYOにも私たちのコンシェルジュサービスが導入されているので、カイエールさんもこれから気軽にご利用いただけますよ。先ほどお伝えしたことだけでなく、よく似たニーズを持つOCA TOKYOメンバー同士の交流もお手伝いいたします。そしてこのサービスを通して、皆さんの人生に笑顔と喜び、そして幸せをお届けしたいと考えています。

まさに「おもてなし」の心が詰まったサービスですね。ところで、この可愛らしい玩具は?

「ホプティミスト」というデンマークで長く愛されている玩具です。触ってみてもらえますか? チャーミングな動きに自然と笑顔になってしまいますよ。これこそ、私たちの目指す「おもてなし」を表しています。最近の日本の「おもてなし」は、精神性を失い、どこか自動化されているように感じることが多々あります。私たちのサービスは、直接相手に向き合うからこそ、人間らしいやりとりを大切に、フレンドリーに接することを心がけています。

ECサイトで「心」を通わせるために。

カイエールさんのビジネスも多くの会員様が利用していますよね。

私は「MILLEPORTE(ミレポルテ)」というECサイトで、ビューティー、ジュエリー、ファッションなどのアイテムを取り扱っています。一般的なオンラインサイトは、いい商品を安く早く売ることができ、とても効率的で便利です。しかし、もっと多くの価値をお客様に届けることができると私は考えています。オンラインだからこそ、もっと人の気持ちに寄り添ったサービスを届ける必要があるのではないかと。そこで、現在はAIによるチャットボットの使用をやめ、サービスデスクのスタッフが直接メールや電話でのコミュニケーションを取るシステムに変えました。

テクノロジーは効率的である一方で、思いやりの心は伝わりづらくなりがち。何をすればお客様が喜ぶのかという視点で、サービスを見直したのですね。

その通りです。特に2020年以降、世の中は非常に特殊な状況になりました。心理的にも追い込まれ、孤立や寂しさを感じている方も増えたと感じています。そんな人々の気持ちに寄り添うことは、自動対応では不可能です。ちゃんと生身の人間が話を聞き、理解し、謝るべきところは謝り、助けるべきところは助け、時には何かしらのプレゼントを送るなど、人と人とが「心」を通わせていくことで、お客様に支持されるサイトにしたいと考えています。

とても共感します。コミュニケーションの方法を変えてみて、改めて感じたことはありますか?

これまでとは違った視点を持つ、経験値の高いスタッフが必要だと考えるようになりました。本当にして欲しいことを直接的に言うお客様は、実際にはあまりいません。だからこそ、その人がどのような背景で、何を求めているか。そこまでを汲み取らなくてはいけない。それができるようになって初めて、カスタマーサポートではなくカスタマーサービスになると思っています。

お客様が言葉にしない背景やニーズを汲み取ることは大切ですよね。私たちの場合、お客様からの幅広い要望に応えるため、まずコンシェルジュが的確な質問をすることが最も重要だと考えています。同時に、様々な領域のリサーチに精通するスペシャリストと連携して、バックアップする体制を整えています。

マニヤンさんのビジネスの場合、個人的なところに深く関わる必要があるので、特にそういった手厚いアプローチが必要ですよね。

そうですね。例えば「いいレストランに行きたい」と言っても、「いい」という定義は人によって違います。美味しいことが「いい」と感じる人もいれば、プライベートな空間や雰囲気、サービスなどに「いい」と感じる場合もあります。そこをまず、理解しなければいけません。

質問をして、人の話を傾聴し、理解する。違うビジネスであっても、私たちは同じことをしているのですね。ところで、マニヤンさんはコンシェルジュサービスの利用者である「会員」のことをどのように捉えていますか?

私たちは、会員を「パートナー」や「仲間」と考えていて、家庭や職場とは違うサードプレイスのような立ち位置で手助けをしています。ライフイベントに何かしらの課題を抱えている人もいらっしゃいますし、家族の健康状態や子どもの教育などを心配している方もいます。会員の方々に心を開いていただくためにも、ヒエラルキーをつくらず、「パートナーとして助けたい」という親身な気持ちで向き合っています。

「会員」という言葉は、様々な定義を持っていますよね。私たちにとって会員は「お客様」です。常に等しく公平に向き合います。なぜなら、個人よりもクループとしての調和を尊重しているからです。そうすることで、私たちも多くの目的を達成しながら、すべての会員にメリットを届けることができると考えています。
 クラブというものを考えるなら、会員によってその場の雰囲気が醸成されることを加えて意識するべきです。すべてのメンバーが、場の雰囲気に責任を持ち、その雰囲気を楽しむことが大切ですから。

「プライベートクラブ」の育て方。

OCA TOKYOメンバーであるカイエールさんは、ここをどのような場所にしていきたいと考えていますか?

とても素敵な空間なのでプライベートでもビジネスでも活用できそうですね。一人で来てもリラックスできる場所だと思いますが、会員同士のコミュニティという側面もあるので、最初のコネクションづくりを大切したいですね。メンバー同士が互いに知り合い、気さくに喋るような関係になることで、OCA TOKYOらしい雰囲気が徐々につくられていくでしょう。それから人を増やしていけば、さらに心地よい場所になると思います。

そうですね。OCA TOKYOには、今後さらに多様な人々が集まると思います。また、至るところに展示されているアートの存在も、人と人をつなぐきっかけになるでしょう。アートはまさにダイバーシティの最前線。いろいろな理念や歴史をつなげ、会話を生み出すツールとして活かされていくはずです。

定期的にアートや写真の企画展を開催してもいいですよね。そこでパーティーを開くことで、同じ作品を好む人同士が出会えるでしょうし、少しでも共通点があれば、そこから新たな広がりや動きが生まれると思うので。もちろん、映画や料理、ワインなど、他のトピックでもいい。まさに、きっかけが溢れている場所。それが、OCA TOKYOかもしれませんね。

「フレンドリー」と「秩序」を兼ね備えて。

日本の場合、日本語にある敬語と社会的な上下関係の構造が深く結びついているため「フレンドリーなおもてなし」は難しいという前提があります。ですがOCA TOKYOでは、その前提を覆していく必要を感じています。

確かに日本語にはヒエラルキーがあり、それが秩序ある社会を維持させています。私から見ると、それは美点でもあり、残しておいてもいい気もしています。一方で、対等な立場で心を通わせるためには、本当にその人のことを思って、正直に、誠実に、何が必要かを伝えてあげることも大切ですよね。そういった関係こそが「フレンドリー」だと私は思います。

丸の内という伝統的なイメージがある街も、これからはもっと外国人や女性が受け入れられ、活躍できる街になっていくでしょう。その起点のひとつとしてOCA TOKYOがあると思いますので、訪れる人たちの理解者になり、多様性に富んだオープンな場に一緒にしていけたらと思います。

そのためには、私を含むOCA TOKYOメンバーの振る舞いが重要になってきます。特に初期のメンバーが先頭に立って、OCA TOKYO独自のスピリットを打ち立て、この場の雰囲気を形成していくことが大切です。ブランディングと一緒です。ブレない軸を持ち、忍耐強く、正しいことを続けていく。そうすれば、ある段階できちんと成熟し、味わい深い場になっていくはずです。

アルメル・カイエール

株式会社B4F

フランス生まれ。トムソンジャパン株式会社にて研究開発エンジニアとしてキャリアをスタートさせた後、伊メルロニ社のマーケティング・ディレクターを経て、仏セベ社のCEOとして企業再生を行う。アメリカで経営コンサルタントとして活躍後、日本に再来日。株式会社三城の社長を経て2009年より現職代表取締役社長に。2010年にECサイト「Milleporte.com」を立ち上げ、現在に至る。

マニヤン 麻里子

株式会社TPO

ゴールドマン・サックス証券会社等で勤めた後、2016年に日本で最初のコンシェルジュ会社(株式会社TPO)を起業・代表取締役社長に。仕事場にダイバーシティを取り入れ、職場での幸福度を改善しながら、働く人たちの私生活や仕事を充実させるサポートに従事する。一橋大学卒業。パリのHEC経営大学院の修士課程修了。UWC ISAK Japanの諮問委員会のメンバーとしても活動する。TPOは、OCA TOKYOのコンシェルジュサービスを提供している。

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