OCA TOKYO BLOOMING TALKS 025

感動の作法

Released on 2022.02.04

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

コンサルティングをおもな生業とする今井雅敏さんと、会員制Webサイトを運営する米澤多恵さん。OCA TOKYOメンバーでもあるお二人の共通項は、誰かに感動や歓びを与える「企画家」であること。今回は3つのトークテーマを用いながら、それぞれの豊かな発想の源泉に迫りました。

警察と何回も話し合いました。

最初のテーマは「感動が生まれる絶対条件」。お二人にもカードをお渡しして、その条件を書いていただきました。

今井さんは全国各地を飛び回っている印象ですが、拠点は京都ですか?

「京都」ということにしていますが、本当は週1くらいしかいません。東京も週1くらいです。最近は「企画家」と名乗っていますが、つまりは何でも屋ですからね。企業のコンサルタント的なことからイベント企画、飲食店の経営、地方再生、食物販、不動産なども手がけています。

目まぐるしく動いていらっしゃいますね。改めて聞いても本当に幅が広いと思います。ちなみにカードには何と書かれましたか?

これですね。物語とサプライズ。

わかります! 私も「ストーリー」と書こうかと迷ったので、被らなくてよかった。「サプライズ」も今井さんらしいですね。

特に職人さんが精魂込めてつくっているものは、素敵な物語が必ずあります。出来上がったものだけでなく製作過程を垣間見ることで、いっそう感動を演出できると思います。そして、サプライズとは、要するに想像以上であること。それが、感動の絶対条件だと僕は思います。ラグジュアリーブランドのイベント企画に携わることもあるのですが、お客様の多くは富裕層ですし経験も豊富です。そうした方々を感動させるためには、それこそ誰も想像し得ないような企画が必要ですからね。

いつものことですが、その高いハードルを越えていろいろとカタチにされていますよね。例えば、記憶に残っている企画があれば教えていただけないですか?

わかりやすいところで言えば、京都の四条にある花見小路をウサイン・ボルトに走ってもらった企画です。スイスの高級腕時計ブランド「HUBLOT(ウブロ)」のPRイベントで「あのボルトがまさかこんなところに!」と、すごく喜んでいただけました。

道路を使用する手続きも必要ですよね? そのあたりも大変そうです。

よくご存じで(笑)。実は警察と何回も何回も話し合って、何とか実現させました。誰かを感動させるためには面倒なプロセスがどうしても多くなってしまいます。ただ、この部分は非常に重要です。どれだけ苦労してでも一歩先を用意する。そこに感動があると信じていますから。ただ、このような仕事が増えてくるうちに「次は何をしてくれるのだろう?」と、期待がどんどん大きくなってしまうのは悩みの種です。まぁ、仕事では性格的に“ドM”なので(笑)、とても楽しくやっていますよ。

「臭い!」や「不味い!」も感動の一部。

米澤さんが書いてくださったキーワード「五感が震える歓び」についても、ぜひお聞きしたいです。

私はもともと男性ライフスタイル誌「GOETHE(ゲーテ)」の創刊から携わり、副編集長をしていました。その後独立して、会員制Webサイト「エピキュリアン」を開設したのが、2017年です。今井さんにもご利用いただいていますね。

とても珍しい体験イベントを、たくさん企画されていますよね。

ありがとうございます。「エピキュリアン」では、特にジャンルがあるわけではなく、人生の全方位を網羅するような体験を提供したいと心がけています。「人生の豊かさはどれだけ色とりどりの経験をしたかで決まる」というテーマを掲げて、会員の皆さんにとって知らなかった世界を体験できる企画を常に用意しています。

そこではまさに、今カードに書かれたようなことを意識されていると。

そうなんです。私は常々「知らないことを知ること」の中に、心が震える感動の瞬間があると思っています。大切なのは、ただ知るのではなく、五感で感じること。高価なものや特別なものである必要はありません。ましてや美味しいとかキレイでなくてもいい。何気ないちょっとしたものにでも、いくらでも感動できると思っています。

たしかに、何気ないところにも感動はたくさんありますよね。先日地方で仕事をした際に、宿がなかったので近くの関係者のお宅に泊めていただいたことがあります。そこで夕食時に立派な漆の器でお食事をいただきました。「まさかこんなところで、こんなに素晴らしい器に出会えるのか」という驚きはもちろん、その方のおもてなしの心遣いにはすごく感動しました。

素晴らしい経験ですね。それは何気ないことに感動できる感受性を今井さんがお持ちだからこそですよね。大掛かりな企画も物語と驚きによってもちろん感動しますが、空を見上げて「青くてきれいだなぁ」というのも感動です。そこで心が動くか動かないか。その感受性の差も影響すると思うのです。

いえいえ。本質的な感動体験を提供しているのは、むしろ米澤さんだと感じます。エピキュリアンで提供した企画の中で印象深いものがあれば、ぜひ聞いてみたいです。

「なれずし」を食べる。という企画をしたことがあります。何百年も昔からある、魚を長期間発酵させた伝統的な郷土寿司です。誤解を恐れずに言うと特別美味しいわけではありません。しかし、日本人が大昔から食べていた寿司を食べてみること自体が経験であり、この味を知ることで、現代の寿司の味わい方も変わるのです。体験の幅が広がることで、新たな歓びに出会えると思っています。

心地よく、閉じる。

2つ目のテーマは、「コミュニティの心地よさ」について語り合っていただきました。

このテーマを語るうえでは、京都の「一見さんお断り」が参考になると思います。これは、お店を訪れるお客様により心地よい時間を過ごしてもらうための仕組みです。昔からお店に足を運んでいたお客様にとって、嫌な感じのお客様が同じ空間にいるのは気分が良くないですよね。だから、お店がお客様を選んでいるわけです。いまだに札束を持って「入れてくれ」と来る人もいるそうですが、当然そんな人は入ることを許されません。

わかります。体験イベントに参加して、体験を楽しまずにせっせと名刺を配って営業ばかりしている人がいたら、私だったらすごく嫌な気持ちになります。

それに、昔のお茶屋の女将さんは人の紹介が本当に上手でした。きちんとお客様を見極めたうえで「こんな方がいますが興味ありますか?」と、良い関係になりそうなお客様同士をそっとつなげてくれていました。

素敵ですね。少し前までは「一見さんお断り」は悪いイメージでしたが、近年は許容されてきている気がしませんか?

そういう時代なのかもしれませんね。そういったお店の中には、数年先まで予約が取れない場所もあると聞きます。いろいろな方法で心地よさをつくろうとしているのでしょう。

飲食店に限らずコミュニティを開くのも閉じるのも、オーガナイズする側の意思は大事ですよね。エピキュリアンが会員制としているのは、希少なものや有名なものを手に入れたいだけの人ではなく、「未知を経験したい、知的冒険をしたい」という人が集まる場所にしたかったからです。逆に言えば、その賛同さえあれば年齢や性別、職業も関係ありません。先日のイベントでは、20代と70代が一緒の席に座っていました。そういった環境はお互いに刺激になりますし、セレンディピティも起きやすいと思います。

企てる、その前に。

最後のテーマは、「OCA TOKYO遊び方会議」と題して、企画のプロフェッショナルであるお二人の目から見たOCA TOKYOの可能性について語っていただきました。

常々大切にしているのは、感動を届ける相手が「誰か」ということ。どのような相手かを把握するところから企画は始まります。

おっしゃる通りです。そこがはっきりと見えてくると、OCATOKYOならではの感動体験を考えていけますからね。

OCA TOKYOには経験豊富な方が多いと思いますが、その人たちにとって「初めて」を経験できることや、新しい学びがある体験だといいかもしれないですね。例えば、丸の内で、地方にある豊かさを学べる企画とか。

いいですね。米澤さんが普段企画されている「大人の遠足」のようなイベントも楽しそうですよね。参加者をOCA TOKYOメンバーに限定できれば、特別感も出せそうです。

少し前に、滋賀県の信楽町で、茶事の中でも特別な夜咄(よばなし)を企画しました。茶事とは、食事やお茶を含めて約4時間かけて行なわれる正式な茶会のことで、なかでも夜咄は、冬至から立春あたりの寒い時期に日没から行なわれます。このときも、外の気温は0度。
でも茶室に入るとほっとする温かさで、蝋燭の光だけの幽玄な空間がそこにありました。そう簡単には体験できないことだからすべてが新鮮で、特にそこで出された質素な炊き合わせが、もう絶品でした! 「近くで採れたものを出しました」といった佇まいの飾らない一品でしたが、東京の高級料理店と同等か、それ以上の味に感じられましたから。

すごく興味深いですね。「地方の予約困難店をみんなで訪れる」といった企画もいいのかな。

「ただの美味しいものツアー」にはしたくないですよね。できればOCA TOKYOならではの企画にしてあげたいです。

ごもっともだと思います。ちなみに僕は今、東京での花火大会の企画を進めています。日本中の花火の匠が携わり、音楽とシンクロする、技術的に最高峰の花火大会です。そこには、花火職人が実際に花火を作っているところを見てから来る企画もあれば、シャンパンを飲みながら大勢で楽しめる企画もあります。同じイベントに違った趣旨の企画を混在させるのもひとつの方法かなと思います。

それも面白いですね。とにかく、企画を立てるうえでは「芯」が必要です。私がいた雑誌の世界でも、雑誌それぞれに芯があって、それに合わないような企画は掲載されません。企画ばかりが先行すると何でもありになってしまい、軽薄な印象を持たれる可能性も出てきてしまいます。OCA TOKYOはどんな芯をもって「遊ぶ」のか。企画の内容を考える前に、そこを丁寧に考え抜くことで見えてくるものがあると私は思います。

これからメンバー同士の関係が深まっていく中、ふとしたきっかけでアイデアが浮かんで、ビジネスとは違う、まさに遊び方を思いつくような軽やかな企画が生まれたら、それはそれで、OCA TOKYOらしいのかもしれないですね。

今井 雅敏

株式会社リンクアップ

コンサルティング会社の代表として全国を飛び回りながら、企業や地方自治体の活動をサポート。他にも飲食店の経営や食物販、イベント企画に不動産業と、業務は多岐に渡る。京都の青果問屋で生まれ食に精通していることから、仲間内では親しみを込めて「たまねぎさん」と呼ばれている。

米澤 多恵

株式会社エピキュリアン

男性ライフスタイル誌GOETHE(ゲーテ)の創刊に携わり、12年間副編集長を務める。2017年に独立し、会員制ウェブサイトEpicurean(エピキュリアン)を開設。「人生の豊かさはどれだけ色とりどりの経験をしたかで決まる」を信念に、多彩な企画を会員に提供している。また、依頼に応じて企業への各種コンサルティングも行なっている。

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