SELECTED EVENTS 009

おもてなしの本質

Released on 2022.04.01

2月14日のバレンタインデーの夜、OCA TOKYOメンバーである田島雄志さんと中村孝則さんをお招きし「Special VALENTINE Talk Show」を開催。今回のレポートは、特に印象的だった「おもてなしの心」というテーマで語られたお二人のお話を抜粋・編集してお届けいたします。

田島 雄志

株式会社 THE CREAM OF THE CROP AND COMPANY

イギリスの大学卒業後、会社員を経て29歳で起業。「セルジオ ロッシ」「ジョンロブ」などを日本に初めて紹介する。2001年に「ピエール マルコリーニ」の総代理店となり、2002年には銀座に店舗をオープン。2012年、清澄白河に「THE CREAM OF THE CROP COFFEE」、2019年より「カドー ナチュール」など、自社ブランドもスタートさせる。

中村 孝則

株式会社オフィス・ダンディ・ナカムラ

美食評論家・コラムニストとして雑誌、新聞、テレビなどで活躍中。2013年からは、世界のレストランの人気ランキングを決める「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士七段、大日本茶道学会茶道教授。

◆まずは、イベント前半で盛り上がったバレンタインに関するクイズを1つご紹介します。当日最も回答が分かれた問題です。皆さんもぜひお考えください。
※正解は、記事の最後に記載しております。
問題
日本でのバレンタインデーの経済効果は、ホワイトデーとあわせて約2,500億円と言われていますが、アメリカのバレンタインデーの経済効果はおよそいくらでしょうか?
ヒント:アメリカの人口は日本の人口の約3倍です。

① 7,500億円 ② 1兆8,000億円 
③ 2兆8,000億円

相手を喜ばせたい。その思いが心を打つ。

── これまで最良のもの、最上のものを日本で展開している田島さんは、日本のギフト市場に精通しているかと思いますが、気持ちを伝えることの大切さについてご自身はどのようなお考えがありますか?

贈り物で気持ちを伝えるとき、まずは自分が食べて美味しかったものを贈りたくなります。この美味しさをあの人にも味わってほしい。そんなシンプルな気持ちを大切にしたいです。また、ともに働く社員を労うシーンでギフトを贈る際、例えば既婚の男性社員の場合、本人よりもその奥様を意識したものを選ぶといった気遣いが、感動につながることもありますね。

── 茶人としての活動をはじめ、世界一流のレストランやホテルのホスピタリティに触れる機会の多い中村さんは、「おもてなし」について考えることもよくあるのではないでしょうか。

そうですね。茶道は約束事も多くて敷居が高いと思われていますが、本質としては「おもてなし道」だと思っています。いかにおもてなしによって相手の心を打つか。まるである種の格闘技のような、真剣勝負をする感覚さえ持っています。

文化を伝えるおもてなし。

今回はゲストの方からも素敵なおもてなしエピソードを聞くことができました。なかでも印象的だったのは、フランスの伝統文化である狩猟を体験したというお話。その時に収穫したカモやキジは、帰国後に熟成された精肉として届けられたということで、時間をかけて、行動をともにしながら、自分たちの国の文化を教えるという「おもてなし」に深く感動したそうです。

すごく素敵なお話で感動しました。そこには損得がまったくないですよね。しかも本当に喜んでもらいたいという気持ちがあふれています。それを聞いて思い出したのは、パリに仕事で行ったときのこと。空港から取引先のオフィスに行く前にバールへ寄ってシャンパンで乾杯して歓迎してくれて、仕事終わりもまた別のカフェへ寄ってシャンパンでまた乾杯。このときも何の損得もなく、さり気なく彼らの文化を体験させてもらえてとても嬉しかったですね。

さり気なさという意味では、僕も茶道の「お点前」について考えることがよくあります。決まった作法があるものの、能や舞踏のように演技ではない。正確な所作で振る舞うのですが、お客様を緊張させても良くないわけです。ですから、いかに相手の目を触れさせずスムーズにお点前できるか。なかなか難しいですが、今もなお追求しているところです。

OCA TOKYOに、大切な人をお招きして。

── おもてなしの心については、OCA TOKYOでも日々考えながらお客様を迎えているのですが、お二人がもしOCA TOKYOで大切なお客様をおもてなしするとしたら、どんなお部屋でどのように過ごしたいですか?

ぜひ使ってみたいのは「MDK」ですね。素晴らしいキッチンやカラオケもあって、友人たちと自宅のように寛げそうです。個人的には、一流のシェフを呼ぶのもいいけれど、自分で心を込めてお料理を提供してみたいですね。

OCA TOKYOではワインを各部屋に届けてくださるのも嬉しいですよね。僕も「MDK」を自宅のように使って、ホームパーティーをやってみたいです。

OCA TOKYOのある丸の内は、ロケーションがいいですからね。海外の方をお連れしても「カッコいい!」とよく言われます。街全体が素敵ですしアクセスも抜群。そんなエリアにこのようなプライベートを過ごせるスペースがあるのは貴重だと思います。

もう1つ僕が素晴らしいと思ったのは、和室「一三」です。特にありがたいのは、真ん中の畳を2枚取り外すと掘りごたつ仕様にできること。こうした工夫があると、例えば、懐石料理を掘りごたつ式で楽しんでいただいた後、畳を敷いてお茶を出すといったスタイルで、ご高齢の方や海外の方に対して長時間正座を強いることなくおもてなしができると思いました。

── 本日はバレンタインにちなんだイベントでしたが、お二人のお話を伺って「おもてなしの心」の大切さを再認識させていただきました。最後にお二人からメッセージをお願いします。

お茶会や食のイベントといったリアルな場を開きづらい状況が続いていますが、おもてなしというのは、人と直接会うところから始まるとつくづく思います。今日のようなイベントやお茶会などを通じて、今後も自分自身を磨いていきたいと思います。またいろいろな場で皆さまとお会いできることを楽しみにしています。

中村さんのおっしゃる通り、おもてなしってオンラインだけでは難しい。やはりリアルな場でのコミュニケーションで心が通うのだと思います。そして改めて、損得なく心から人を喜ばせることを大切にしたいと思いました。年齢を重ねてくると時々相手の魂胆が見えてしまうこともありますが(笑)、そういったものがないやりとりができると最高ですね。

7階レストラン 7th Kitchen のパティシエが、
この日のために特別に作ったチョコレートケーキ「オペラ」。

田島さんからもバレンタインギフトとして、ご自身が経営するパティスリー
「Cadeau(カド―)」で販売している3種の生チョコが振る舞われました。

◆クイズの答え… ③ 2兆8,000億円
【解説】2020年1月に全米小売協会(NRF)が調査したバレンタイン動向調査によると、バレンタインの支出額は1人あたり平均約196ドル(約20,416円)、推計総支出額(市場規模)は274億ドル(約2兆8,496億円)で、日本の約11倍という結果だそうです。アメリカのバレンタインは、男性から女性へ思いを伝える「ここ一番!」の日であることから、花束、ジュエリー、レストランで二人きりのディナーなど、日本とは違った広がりがあるようです。

OCA TOKYOでは「鮮烈に人生を謳歌する」をコンセプトに、皆さまの感性を揺さぶるイベントを開催しております。詳細はトップページをご覧ください。

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