OCA TOKYO BLOOMING TALKS 035

子どもの成長への関わり方

Released on 2022.05.20

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

現在、中学受験の強い味方として活躍するOCA TOKYOメンバーの齊藤美琴さんは、国語を専門としながら、家庭の学習環境にもアプローチするというユニークな指導を展開しています。そのスタイルにたどり着いた理由をお聞きすると、子どもの成長を切に願う齊藤さんだからこそのシンプルな答えを、たくさんいただくことができました。

勉強が大好きな小学生でした。

── 子どもの教育に携わろうと思ったきっかけを教えてください。 親がもともと教育熱心だったことが大きくて、私自身、小学時代から塾に通ってたくさん勉強していましたし、中学受験も経験しました。特に母は、いまだに学び続けているような人なので、その影響もあって教育に携わることに自然と興味が持てたのだと思います。

── 幼少期から勉強ばかりで大変だと思いませんでしたか? 周りから見ると、遊ぶ時間がなくてかわいそうと思われていたかもしれません。でも当の本人は、それはもう勉強が楽しくて楽しくて。当時の私にとって塾での勉強は、新しいワクワクをくれる場所。塾から帰ってきては「今日はこんなことを習ってきたよ」と、両親に話すのが日課でした。親はいつも決まって「そんなことも知ってるの、すごいね!」と本当に嬉しそうに反応してくれて、今思えば私をうまく乗せてくれていただけかもしれませんが、おかげで勉強の楽しさを常に感じられていました。現在は教える立場でもあるので、そんな気持ちを子どもたちに届けることも、ひとつの目標にしています。

── 事業を立ち上げた経緯を教えてください。 何年かの塾講師の経験を経て数年前に独立したのですが、その最大の理由は、子どもへの影響力をより高めたいと思ったから。塾で子どもに教えられるのは、週にたった1時間。そこから多少の学習時間をプラスしたところで、なかなか結果には結びつかない。塾で学ぶ何倍もの時間を家で過ごすわけですから、そこでの学習環境を整えることがよっぽど大切ですし、効果があると確信していました。子どもの学習は、まずは親から。そんな理想を実現しようと、子どもだけでなく親御さんに対してもコーチングを行なう現在のスタイルで事業を始めました。

子どもを変えたいなら、まずは親から。

── 親御さんには具体的にどんなアプローチをしているのですか? 学習指導を開始する際に、指導の方向性や現状を確認するため、コーチングという時間を設けています。子どもが勉強したくなるような学習環境が整っているかを確認することも目的のひとつです。そこでよく困ってしまうのが、親御さんからの「うちの子、国語が苦手で…」という発言。しかも、子どもがいる前で何度もくり返し言葉にする。これでは、子どもの気持ちが萎えてしまいますよね。事実なのかもしれませんが、これはある種の刷り込みです。このような場合は、まず親御さんの日頃からの声かけを改善してほしいと伝えることから始めています。

── 確かに、否定されてばかりだと自信を失ってしまいそうです。 その通りです。だからこそこの流れでポジティブな声かけを推奨しています。中学受験は「できなかったことをできるようにする」の繰り返しです。長い受験期間を過ごしていると、親としてはついできなかったことばかりを指摘するようになってしまいます。これでは先の話の反省が生きません。例えば「できるようになったことを1週間で最低3つは見つけて褒めてあげてください」と伝え、子どもが常にモチベーションを保てるようにします。親御さんは「子どもを変えてほしい」と言って来られるのですが、私からすれば「親御さんから変わること」がその一番の近道だと思っています。

── 家庭の学習環境という、相手のプライベートに踏み込む際、どのような心がけをしているのですか? 大切にしているのは、相手へのリスペクトを忘れないことです。ご家庭の方針は尊重しますし、ましてや親子のバランスを崩してまで受験合格を叶えるのは、こちらとしても望む姿ではありません。ただ、どんなご家庭にも必ず1つか2つ、変えた方がより良くなることはあるものです。そこをどの程度指摘し、どうやってお伝えし、改善を促すか。結局、真摯に相手に寄り添いながらコミュニケーションを図ることで、その都度関係性を築くことを意識しています。

「合格」以上に嬉しいことがある。

── 齊藤さんは、事業を通じて単なる受験学習以上のものを提供しているように感じます。そこに関して意識していることはありますか? ひとつは、なるべく「自走」できる子に成長させてあげることです。自分で考えて行動する能力を伸ばすため、直接的な学習指導だけでなく、例えば1週間の勉強スケジュールをあえて自分で作らせることもします。究極的には、誰かに教えてもらうのではない、自ら勉強していける子になってほしいから。タイムマネジメントの初歩的なものですので、長期的な視点では親御さんにとても喜ばれています。

── やはり子どもに関わる以上、彼ら彼女らの成長はひとつの醍醐味ですよね。 本当にそう思います。子どもの成長は、成績に表れないところにも無限に存在します。私が関わることで、その子が勉強を少しでも楽しめるようになるのは、目先の成績アップよりも大切なことだと感じています。担当した子から受験後に手紙をもらうこともありますし、ある子は私に「国語を好きにさせてくれてありがとうございました」と綴ってくれました。合格の報告はもちろん嬉しいのですが、この言葉にはそれ以上の喜びを感じてしまいますね。

── 国語が専門の齊藤さんにぜひお聞きしたいのですが、やはり読書は国語力に通じているのでしょうか? 必ずしも通じているとは言い切れません。読書と国語の成績に因果関係はないのですが、やはり、国語ができる子はその多くが本を読んでいるのは事実です。子どもたちに本に興味を持ってもらうために何かできないかと考え、少し前に岩波新書さんの「芋づる式読書MAP」を利用して、中学受験世代に向けたブックリストを作成しました。中学受験に出題された本や、その年代が読書の入門編として読みやすい本をピックアップしています。こちらはSNSでも少なくない反響をいただきましたし、ぜひ多くの子どもたちにオススメしたい内容です。読書が子どもに与える影響力は、やはり大きいでしょう。多様な未知の世界を次から次に擬似体験できるのが読書。自分の世界を広げられる最高のツールのひとつだと思っています。

素敵な人たちと、適度な距離感で。

── 自走する力や、読書のことなど、ほとんどのお話が大人にも通じることのように感じます。 そうかもしれません。大人だっていつでも成長できるし、成長しようとしている人の方が一緒にいて楽しいですよね。私の周りも、結果としてそのような人が多い気がします。ここOCA TOKYOでも、そんな刺激的な方々との出会いに期待している側面もあります。

── OCA TOKYOはよく利用されているのですか? 週2前後で来ているので、ずいぶんお世話になっています。オンラインレッスンで使用するときもあるのですが、基本的には調べ物や読書をしていることが多いですね。丸の内には大型書店の丸善があるのでとても使い勝手が良いです。お気に入りの場所は、6階の一番奥にある席。体がすっぽり隠れるこの椅子は、本を集中して読みたいときにぴったりです。

── 最後に、齊藤さんが思う人生を「謳歌」するためのコツなどがあれば教えてください。 私が日々思っているのは、人はひとりでは生きられないということです。特に面白いこと、ワクワクすることは、他者との関係の中から生まれます。ただ、誰彼かまわず無差別につながるのは違う。だからこそ、素敵な人たちと適度な距離感で付き合えるOCA TOKYOは、まさに「謳歌」に最適な空間だと思うのです。実際にご縁をいただいた方もいますし、今後もさらにつながりを広げられることを楽しみにしています。

齊藤 美琴

PICCOLITA

SAPIXの個別指導部門プリバート東京教室などの講師を経て独立。中学受験のコーチングをメインに、国語を軸とした教科指導や幼・小学校受験にも対応する。家庭の学習環境にもアプローチする、単なる学習指導に収まらない独自のスタイルが、多くの信頼を集めている。

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