SELECTED EVENTS 011

世界を躍らす、爆音クラシック

Released on 2022.06.03

4月27日、OCA TOKYOイベントスペースで開催された「Classical-DJ Party Night」では、大音量のクラシックの中、ご来場の皆さまと大いに盛り上がりました。今回は、本イベントでDJを務めた水野蒼生さんに本番直前インタビューを敢行。世界初の「クラシカルDJ」という肩書を持つ水野さんのクラシック音楽への考えや、ご自身の活動に対する思いなどを伺いました。

指揮者 クラシカルDJ 水野 蒼生

1994年生まれ。2018年、120年以上の歴史を持つ名門レーベル「ドイツ・グラモフォン」から史上初のクラシカルDJとしてメジャーデビュー。2019年、ザルツブルグ・モーツァルテウム大学 オーケストラ指揮及び合唱指揮の両専攻の第一ディプロム(学部相当)を首席で卒業。クラシック音楽の再定義を目標に、オーケストラの指揮、DJ、楽曲制作など、フィールドにとらわれない幅広い活動を続けている。

もしも今この時代に、ベートーヴェンが生きていたら。

── まずは、クラシック音楽の世界へ進むことになったきっかけを教えてください。 もともと5歳からピアノを習っていたのですが、基礎練習が嫌いなダメな生徒でした。ただ中学のときにピアノの先生からバイオリンをいただいて、それを演奏するのが大好きになったんです。自分で弓をこすって逆の手で音程を操るという、自分で音を作り出している感覚がたまらなくて。そこからですね、本格的にクラシック音楽、特にオーケストラの世界を志したのは。

── 特に思い入れのある作曲家や楽曲があれば教えてください。 人生でいちばん聴いたアルバムは、モーツアルトのクラリネットコンチェルト。中学の頃から寝る前に毎晩聴いていたので、いまだに聴くと眠くなります。実物を持ってきましたが、絶対音飛びするでしょ、と思っちゃうくらい傷だらけ。でも、これは手放せない一枚です。あとは、やっぱりベートーヴェン。「自分の音楽はこれだ!」と言わんばかりの表現の強さ、喜怒哀楽がはち切れそうなくらい詰まったエネルギーに、今もなお影響を受け続けている作曲家の一人です。

── 水野さんが思うクラシック音楽の魅力を教えてください。 いくつかありますが、まずは表現の多様性という魅力があると思います。例えば、ハリウッド映画のような壮大な風景を音だけで描くこともできれば、ものすごくパーソナルで繊細な感情を届けることも可能です。あとは、数百年という時を経て今では世界中の人から愛される普遍的な存在になっていること。これもクラシック音楽が持つ大きな魅力と言えるでしょう。
さらにもうひとつ、あまり知られていないところで言えば、歴史に名を残す作曲家たちは全員、リアルタイムでは最先端の音楽を追求する革命児だったということ。例えばベートーヴェンの場合、彼が生きた時代は、ちょうどピアノが進化したり新たな楽器が生まれたりしたのですが、彼は真っ先にそういった新しい楽器を取り入れて曲作りをする人でした。そんな彼らのエッジが効いたパーソナリティも、個人的にアツくなる要素です。

── クラシカルDJの活動や楽曲制作について、ご自身の思いやお考えを教えてください。 もしも、今この時代にベートーヴェンが生きていたらどんな音楽をしていただろう? あの作曲家は現状のクラシック音楽の在り方に満足しているだろうか? そんなことを妄想しては、ワクワクしながら活動を続けています。思いとしては、音楽界の革命児である彼らにありったけの敬意を表して「お前らの曲は今でも新しいぞ!」という意気込みでDJをしていますし、もしもタイムマシンがあったら真っ先に彼らに会って、僕の楽曲をプレゼントしたいくらいです。

── 今回のOCA TOKYOでのイベントでは、どのような音楽体験を届けたいですか? コンサートホールで生演奏を聴くのとは違って、今回はスピーカーから爆音でクラシック音楽を浴びていただきます。事前に「今回のDJイベントは踊れますか?」というお問い合わせもいただきましたが、もちろんです! 自由に体を揺らして踊っていただきたいですし、大音量で描かれる音の世界へ没入してもらえると嬉しいです。

── 最後に人生を謳歌するために大切な価値観と、これからの思いを教えてください。 好きなことを好きな人たちと分かち合う。それを突き詰めていくことが、人生を謳歌するために大切な気がします。クラシック音楽で言えば、過去の歴史に謳歌のヒントが詰まっていると思いますね。先人たちは、何を思考し、行動を起こし、楽曲を作ったのか。それを知った上で、2020年代を生きる水野蒼生なら何をするか? DJとして、音楽家として、指揮者として、常に自分のフィルターを通すことで、クラシック音楽の新たな風を世界中に届けていきたいです。

Orchestraで取材を受ける水野さん。

本番前のサウンドチェック。

廣野館長とのトークセッションの様子。

OCA TOKYOでは「鮮烈に人生を謳歌する」をコンセプトに、皆さまの感性を揺さぶるイベントを開催しております。詳細はトップページをご覧ください。

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