OCA TOKYO BLOOMING TALKS 040

計算よりも、大胆であれ。

Released on 2022.07.15

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

大学時代にアメフトのオールジャパンに選出された経歴を持つOCA TOKYOメンバーの徳原靖也さん。屈強な体格とは裏腹に、現在はデジタルマーケティングを主戦場に活躍しています。そんな徳原さんの考えるマーケティングの極意や、Web3.0時代の到来に見据える変化とは何か。常に世の中の半歩先を見据えてきた徳原さんならではの視点から、様々なお話を伺いました。

マーケティングのあるべき姿とは。

── まずは、徳原さんがデジタルマーケティングの世界に入るきっかけを教えていただけますか。 京都大学を卒業後、JT(日本たばこ産業)に就職したのですが、そこで「Ploom TECH」という加熱式たばこのプロモーションを手がけることになったのが最初のきっかけです。海外拠点を含めるとJTは約5万人にもなる大きな組織ですが、私が入社した当初は、日本市場にデジタルマーケティングに精通した人材がほとんどいなくて。結果として若手という理由で私が起用されることになり、そこからデジタルマーケティングを担っていくようになりました。

── 当時からデジタルマーケティングの知識やスキルをお持ちだったのですか。 いえいえ。ただ、もともと父親が大手通信会社のマーケティング部門にいたこともあり、幼稚園児の頃から自宅に巨大なMacが置いてあるような環境で。小学生になる頃には、父親の教育方針で、HTMLを自分で書いてWebサイトをつくったりしていました。なので、幼い頃から漠然とITやWebに興味はありましたね。ただ、仕事として本気で取り組むようになったのは、JTに入社してからになります。「Ploom TECH」のデジタルマーケティングを統括させていただいた後に、独立して株式会社pinealを創業し、今に至ります。

── pinealの事業や徳原さんのご活動についても教えてください。 現在は、いろいろなメーカー様のデジタルもリアルも含めたマーケティング全体をサポートさせていただいています。事業を通じて感じるのは、世の中に乱立するプロモーションツールの中から何を選ぶのがベストなのかわからないという企業や、ひとつの施策が最初の1年は順調でも、その後どんどん効果が薄くなることで悩んでいる企業が多いこと。今のデジタルマーケティングは、いわゆる大手広告代理店やツールベンダー、コンサルティング会社の方が顧客よりも情報を持っているのが現状で、結局クライアントはベンダーたちの言いなりになるしかない、という問題があるように思います。私たちpinealでは、この状況自体を変えて、クライアント主導でマーケティングをリードしていける世の中を実現したいと考えています。

── その実現に向けて、どのようなサービルを提供しているのでしょうか。 具体的には、マーケティング戦略を立案して終わりではなく、それを組織化し、実行する過程まで入り込んだサービスを展開しています。そうすることで、継続的に回るマーケティングをクライアント内で実現することができます。そのためであれば、ときにはクライアントの社内でデジタルマーケティングを牽引できる人材を育成するところから携わらせていただくことや、CMO全体を代行するチームとして弊社がお客様の中に入らせていただくケースもあります。そもそも、戦略と組織に従属する形で仕組みやシステムをつくっていかなければ継続的に回るマーケティングを実現することはできませんが、世の中には戦略の部分しかサポートしていない会社も非常に多い。その先にある実行や仕組み化までを後押しするという点が、弊社の大きな特徴であり強みだと思っています。

データだけでは、解決できないこと。

── ちなみに、意思決定におけるデータの重要性についてはどのようにお考えですか? もちろん、今でもデータは1つの目安になりますが、それだけでは判断できない場面や状況も増えてきているなと最近では感じていて。そういった意味でも、今はデジタルマーケティングが時代の転換点に来ていると思っています。要因のひとつとしては、世の中にすでにモノが溢れかえってしまっているということ。例えば、新たなD2Cを始めたとしても、その製品やサービスにはすでに似たものが存在していることがほとんどです。年商数億円くらいの見通しはついたとしても、数十億円、数百億円というスケールまで見通すことは難しい。現在の市場においては、確実性の高い成長戦略は描きにくく、常に変化しながら成長することを前提にしなければならないんです。この変化という不確実性を、データだけで導き出すというのはかなり難しいですね。

── そのような不確実性を伴う際は、どのようにして意思決定すべきなのでしょうか。 やはりデータだけでなく長年の経験値や感性のようなものも、意識決定においては重要な要素です。例えば、私は基本的に「戦略→組織→仕組み」という従属関係を理想としているのですが、それだけでは意思決定ができない場合も時々あります。そんなときには「組織→戦略→仕組み」という関係にして考え直してみると、実は解決策が見えてくることもあるんです。一度決めた戦略に固執せず、組織として培った経験から戦略を見直すことでベストな勝ち筋を見つけていく。そんなアプローチ自体を変えてみるという判断は、まさに経験や感性が必要になってくると思いますね。

Web3.0によって進化する、組織やコミュニティ。

── これからpinealとして力を入れていきたいことを教えてください。 特に注力していきたいのは、やはりWeb3.0領域の事業です。Web3.0にはNFTやDeFiなどいくつかのテーマがありますが、その中でも私たちが力を入れているのが、DAO(Decentralized Autonomous Organization)といわれるテーマ。日本語では「分散型自律組織」と呼ばれるもので、ブロックチェーン技術を使った新しい組織やコミュニティ形成の仕組みです。有名な事例だと、アメリカに「LinksDAO」というゴルフ場をメンバーシップで経営するコミュニティがあります。ざっくり言うと、従来のような管理者を必要としない、メンバーたちが主体となって経営をしていくスタイルで、NFTの売買やトークンの発行などによってメンバーと資金を集め、メンバーの意見を最大限に反映しながらゴルフ場のコースや施設などがつくられていく仕組みです。

── 具体的にどのようなプロジェクトが動いているのか教えていただけますか? 最近では、寺社仏閣という場に新たな可能性を見出すべく、Web3.0の技術を使った実証実験プロジェクトをスタートさせています。端的に言うと、デジタルお守りやデジタル御朱印帳を購入することで、世界中の人たちが特定のお寺や神社と関わることができ、ある種のコミュニティを形成するという試みです。本来、お寺や神社は、地域コミュニティの1つです。人口減少や檀家離れといった課題がありますが、Web3.0の技術を活用することで、新しい形のコミュニティが形成され、地域コミュニティに代わる役割を担っていく。そんな未来を信じて、まだまだ道半ばですがプロジェクトを進めているところです。

計算だけでは、楽しくない。

── 徳原さんがOCA TOKYOのメンバーになったきっかけを教えてください。 実はこう見えて、私は元来コミュニティに参加することが苦手な性格でして(笑)。そんな苦手意識の克服も兼ねて、大学でアメフト部に所属していたくらいですからね。OCA TOKYOを最初にご紹介いただいたときも、普段は渋谷や恵比寿にいることが多いため、丸の内は正直敷居が高いなぁと思っていました。ただ、最初の内見ですぐに素敵な場所だなと感じましたし、このConditioning Studioがあることも好印象で、率直に「ここならメンバーになってみたい」と思えたことがきっかけですね。

── 日頃OCA TOKYOをどのように利用されていますか? 普段は仕事目的に使うことが多く、知人やお客様とミーティングをしたり、バーで飲んだりしています。実際に利用してみると一層この場の力を感じますね。きっとOCA TOKYOを運営している皆さんのホスピタリティや、メンバーの皆さんの魅力があってこそ生まれているものではないでしょうか。ここに来ることで普段出会えないような方々とお会いできたり、お話できたりする機会もあってとても楽しいです。

── 最後に、徳原さんの考える人生を謳歌するために大切にすべきことや、心がけるべきことを教えてください。 個人的に心がけていることは、「大胆でいること」です。データを扱う人間としてこんなことを言ってはダメかもしれませんが、人生においてもビジネスにおいても、計算をして上手くいくことはあっても、計算をして面白いことはまずありません。ですので、人生を謳歌するためには、いろんなことに挑戦し、いろんな場に飛び込んで、そして思い切り楽しむ。そんな大胆さを持ち続けていたいと思っています。そういえば最近、後輩から誘われてアメフトの社会人一部リーグに現役復帰したんです。その選択に、何の計算も勝算もありません(笑)。でもすごくワクワクしているのは確かです。

徳原 靖也

株式会社pineal 代表取締役

京都大学在学時にはアメリカンフットボール部にて主将を務め、オールジャパン選出。新卒で日本たばこ産業株式会社(JT)に入社し、子会社冷凍食品事業の営業部門を経て、加熱式たばこ「Ploom TECH」のデジタルマーケティングを統括。その後、pineal(ピネアル)を創業。大手から中小・ベンチャー企業に至るまでのマーケティング支援やPRプロジェクトなどを手掛けるほか、課題を解決すべく、様々な企業のマーケティング活動にCMO代理という形での支援も行っている。

Archives