OCA TOKYO BLOOMING TALKS 048

始まりは、いつでも好奇心

Released on 2022.10.28

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

世界中のイラストマップをオンライン化しGPSと連動させるサービスを展開している、株式会社Stroly(ストローリー)の代表であり、OCA TOKYOメンバーの高橋真知さん。その地域ごとにある面白さを楽しみながら発見できるユニークなサービスは、どのように成長していったのか? 気さくな語り口とは裏腹に、チャンスを手に入れるための大胆な行動力とクリエイティブな手腕、さらにご自身のブレない考え方を伺うことができました。

地図で花開く、地域ごとの魅力。

── まずは、社名と同名である「Stroly(ストローリー)」というサービスについて教えてください。 Strolyは、「story」と「stroll(ぶらぶらする)」を掛け合わせた造語で、ストーリーのあるイラストマップをデジタル化し、GPSで現在地を表示しながら歩けるようにするサービスです。正確な縮尺の一般的な地図と違って、イラストマップはその目的によって見てほしい場所が極端に大きく描かれていたり、「スイーツ」「蕎麦」「お土産」「古地図」といったテーマ性を重視したりと、とにかく作り手の主観が色濃く反映されています。そんなイラストマップの中にGPSで自分の位置がポンと表示されることで、イラストマップのテーマと自分がリアルタイムで連動し、その世界観を鮮やかに体感することができます。また、ブラウザ上でGoogleマップとワンクリックで切り替えできるので、本来地図が持つ利便性を損なうことなく、多くの人にイラストマップの世界観を楽しんでいただけるものになっています。

── サービスを立ち上げた当初や、展開していく中でどのような反応がありましたか? 立ち上げ当初は、「デジタルの地図であればGoogleマップもあるのに、わざわざイラストマップをデジタル化して事業が成り立つの?」と、やや冷たい目を投げかけられることもありました。それでも事業を展開するにつれて、ローカルの魅力を発信したい自治体など、積極的に興味を持ってくださるお客様も増えていきました。またお客様だけでなく、イラストマップを作るクリエイターの方からも「こういう表現の場を探していたんです!」と言われることもあります。

── Strolyでは、利用者のイラストマップ上での動向から様々なデータが集まってくると思います。それらをどのように活用していますか? 意外に思われるかもしれませんが、Strolyでは、あまりデータ活用に比重を置いていません。そもそもStrolyで集まる動向データは、いわゆるビッグデータではなく、イラストマップがどのように使われているかを確認するデータなんです。ですから、自分たちが提供したマップをちゃんと使って行動しているか、という確認としてデータを見ていますし、そのデータをもとにマップ上の表現を改善することはあります。ただ、マーケティング目的で活用はしないようにしています。Strolyのマップを通じて地域のファンを増やしたいのに、データ活用を目的にしてしまうと本末転倒ですからね。言ってしまうと“よこしまな部分”には手を出さないぞ(笑)。そのくらいの距離感でデータと向き合っています。

アート感覚を大切にし、世界目線で挑戦する。

── データ活用よりも、クリエイティブな視点を優先する理由を教えてください。 私はアメリカの大学で美術史を専攻していたこともあって、たくさんのアート作品を鑑賞する機会がありました。そのときと同じような感覚で地図を眺めてみると、地図にもアートと同様に作り手のメッセージを感じて「地図も立派なアート作品だなぁ」と思うんです。Strolyは、そういったアートとしての楽しみ方ができますし、体験してみるとその“作品”の世界観に没入できるような、インスタレーション的な面白さもあります。そういったワクワクする体験こそ、Strolyの最大の魅力として発信していきたいですね。

── 実際にStrolyを使う様子を見せていただけますか? もちろんです。例えば、京都の伝統産業製品や文化・観光を紹介するこの可愛らしいマップは、街の風物詩やお祭りの様子、京都産のお土産が買える場所などがわかって、見ているだけでワクワクする内容になっています。ほかにも「夜の新宿歌舞伎町」といったテーマに絞り込んだマップや、季節によってガラリと見どころが変わる「長野市白馬村」のマップなど、様々な切り口のテーマで、地域の魅力を知ることができます。

また、Strolyは、誰でも自由にイラストマップを投稿できるプラットフォームでもあるので、現時点で1万枚くらいのイラストマップがStroly上に存在しています。私たちも随時チェックしていますが、ユニークな表現を見つけては「すごい!」と驚かされる日々です。ちなみにOCA TOKYOのあるエリアで以前行なったプロジェクトでは、丸の内の古地図をいくつかStroly上にアップいたしました。例えば、慶応三年当時の古地図を見てみると、OCA TOKYOがある丸の内テラスあたりには用水路が通っていたことがわかり、現在の地図と見比べることで時の経過を楽しむこともできます。

── 地図という特性上、グローバルな展開も視野に入っているかと思いますが、実際の手応えとしてどのように感じていますか? Strolyが世界に通用すると確信できたのは2019年、アメリカのオースティンで開催された世界最大級の複合フェスティバルSXSW (サウス・バイ・サウスウエスト) のピッチコンテストに挑戦したとき。世界中のスタートアップが参加する場で、日本のスタートアップとして初めてファイナリストに選出されて参加したのですが、そこでSXSWのオフィシャルマップの担当者とコラボし、Strolyでオフィシャルマップを使えるようにしました。世界の舞台で幸運にもお声がけいただき、自分たちのサービスをお披露目できたことは、その後の自信につながっていると思います。

── 現在、Strolyはどのように世界へと展開しているのですか? グローバル展開に向けて活動を加速させようと考えていましたが、残念ながらコロナ禍によりいったんスローダウンしました。その一方で、世界中の人が非接触なQRコードを使うようになり、デジタルに対するリテラシーが高まったことはポジティブな変化でしたね。現在、ようやく海外からのお問い合わせも増えていますし、マイクロツーリズムといった新しい楽しみ方が生まれるなど、グローバル展開の契機が再び訪れている気もしています。

直感と合理性が、チャンスを引き寄せる。

── 思い切った挑戦を続ける高橋さんですが、その原動力はどこにあるのでしょうか? 仕事においては合理的にものごとを考えますが、どちらかというと本来の私は、その場に行って人と話し、物や空間、環境を見たり感じたりすることで、たくさんのインスピレーションを受けるタイプ。ですから新しい発見を促すようなクリエイティブなものを見つけると、ものすごくワクワクするんです。おそらくそんな好奇心旺盛な自分が、時に思い切った決断をしていると思います。

── これまで具体的にどのような決断や行動をしてきましたか? 例えば、起業をすると決めたときもそうです。その当時、日本で考えているだけでは、わからないことが多すぎたので「起業するなら、一度シリコンバレーに行ってみよう!」と思い立って渡米をします。そして、とある米国企業が主催する女性起業家向けのプログラムに参加し、2週間、7人くらいの女性起業家たちと朝から晩まで研修を受けながら事業構想を整理し、最終的に投資家たちの前でピッチをする経験ができました。また、Googleの研究者やマッチングアプリの創業者など、業界のトップに君臨する人たちと直接話せたことも良い機会でしたね。思い切って彼らに事業のアイデアや悩みをぶつけると、皆さん気さくに、しかも的確なフィードバックをくださいました。とてもエキサイティングで幸運な出会いでしたね。長い間悩んでいたことが、10分くらいで解決するわけですから。Strolyを含め今の自分があるのは、そういった挑戦と幸運な出会いのおかげだとつくづく感じています。

── 最近、個人的にワクワクした体験があれば教えてください。 この3月に行ったドバイ万博も大興奮でした。最新技術を使ったインパクトのあるダンスショーや、とてつもなく巨大なプロジェクションマッピングを大音量で堪能して。正直そこまで期待していなかったのですが、本当に圧倒されましたね。そういった新しい体験をするたびに「これからの未来、どうなっちゃうの!?」と心が躍るようにイマジネーションが広がりますし、自分たちのサービスを考えるときも「もっとダイナミックな展開をしていいかも!」と良い意味で直感が働く気がしています。

肩の力を抜いて交流できる場所。

── 高橋さんは、どのようなきっかけでOCA TOKYOのメンバーになったのですか? すでにOCA TOKYOメンバーである知人に、MDKでパーティーを開いてもらったのがきっかけです。ラグジュアリーでありながらカジュアルに過ごせる雰囲気に一目惚れしてメンバーになりました。

── 普段は、OCA TOKYOをどのように使っていらっしゃいますか? 私の会社は京都にあるので、東京に行ったときは1日に何件も打ち合わせや商談を行ないます。今までは、私自身が先方のところへ出向くスタイルだったのですが、OCA TOKYOのメンバーになったことで、会いたい人をお招きできるようになりました。アクセスもいいですし空間も上質なので、皆さんに喜んでいただいています。堅苦しくならないので話も弾み、とてもフラットな意見交換ができるのもありがたいですね。地方を拠点にしている立場としても、すごく使い勝手の良い場所だと感じています。

── 最後に、OCA TOKYOで今後やってみたいことを教えてください。 まだ入会したばかりなので、まずは定期的に開催されているイベントに参加してみて、他のメンバーの皆さんとの交流を深めていきたいですね。また、近年は女性の起業家が増えてきていますが、全体を見るとまだまだ少ないのが現状です。そういった方々の相談に乗って背中を押したり、感性を刺激し合える仲間を見つけたりしたいですね。そして時には、格式ばらない小規模な食事会などを開催しながら、深い話で盛り上がれると嬉しいです。

高橋 真知

株式会社Stroly 代表取締役社長兼共同CEO

米国カールトン大学卒業(美術史専攻)。シカゴ美術館等でインターンを経験し、帰国後ITベンチャーに新卒入社。関西学研都市のATRにてミュージアムメディア事業部を立ち上げ、傘下の子会社の社長に就任。2016年にMBOを行い、京都拠点のスタートアップ「株式会社Stroly」を起業。エリアの魅力を発信するプラットフォーム(stroly.com)を立ち上げる。グッドデザイン賞受賞、SXSW Pitch 2019ファイナリスト。オランダ絵画とビール好き。

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