OCA TOKYO BLOOMING TALKS 54

わが人生、テニスに捧ぐ

Released on 2022.12.09

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

テニスプレイヤーとして世界を舞台に活躍された後、マサスポーツシステム有限会社を立ち上げ、以来、幅広い領域でテニス業界の発展に尽力され続けているOCA TOKYOメンバーの山田眞幹さん。「気づけばテニスがいつもそばにあった」と語る山田さんに、ご自身の人生を振り返っていただきながら、日本のテニス業界への思いなどを話していただきました。

「起業するなら一人でやれ」という父の言葉。

── まずは改めて、マサスポーツシステムのご紹介からお願いいたします。 当社は、日本国内における国民の生涯スポーツ意識の向上とスポーツ業界の発展のために、1990年に設立されました。事業内容はおもに、「明治神宮外苑テニスクラブ」や「橘テニスアカデミー」、2022年6月にグランドオープンした「Masa indoor TENNIS & BEACH RESORT」などにおけるテニススクールの委託運営です。加えて、各種トーナメントやイベントの企画・運営のほか、テニス愛好家による国内プロテニス選手支援を趣旨とする会員制クラブ「Club MASA」の運営なども行なっています。

── マサスポーツシステムを立ち上げようと思われた背景についても教えてください。 30歳で現役を引退したときまで遡るのですが、実は当時、私の恩師が代表を務めていたスポーツ事業会社に就職して会社員になろうと考えていたんです。ところが、たまたまその会社で副代表を務めていた方から、「テニスをここまで真剣に続けてきた山田さんが、会社員とはもったいない。ぜひ山田さんも起業して、会社対会社の関係でお付き合いしていきましょう」と言っていただいて、会社を立ち上げることに。特に印象に残っているのは、「とにかく借金をするな。保証人になるな」という父の言葉です。「最初から人をたくさん雇うと騙されかねない。まずは一人でやれ」とも言われましたね(笑)。テニスしかしてこなかった私が会社を起こすなんて、父にしてみれば、あまりにも信用できなかったんだと思います。

── 実際に、起業後のビジネスは順調でしたか? おかげさまで借金をすることもなく、30年以上事業を続けることができました。なかでも大きなきっかけになったのは、今もなおスクールの委託運営を続けている明治神宮外苑テニスクラブとの関わりでしょうか。約25年前、同クラブがインドアテニススクールをやるとなった際、現役時代からレッスンやキャンプをお手伝いしていた私に、「会社を持っているならうちでスクールをやってくれないか」と声をかけてくださったんです。当時から日本一のテニスクラブと名高かった場所で運営を任せていただけたことは、結果として、その後より多くの方から信頼をいただくことにつながったと感じています。

プロには「プロの夢」が必要だ。

── 山田さんは、ビーチテニスをはじめとする新競技の振興などにも取り組まれていますが、このような活動をスタートしたきっかけを教えてください。 日本のテニス業界がなかなか盛り上がらない中、浅尾美和さんがビーチバレーで人気を集めているのを見て、海外で人気が高まっていたビーチテニスを日本国内でも普及したいと考えたのが最初のきっかけでした。「まずはなんでもやってみよう」という気持ちでスポンサーを集め、熱海のサンビーチで優勝賞金100万円のビーチテニス大会を開催したところ、思いのほかメディアでも取り上げていただくことができて。今ではITF(インターナショナル・テニス・フェデレーション)がビーチテニスを公式競技として認定したこともあり、日本のテニスプレイヤーがテニスとビーチテニスに並行して取り組んだり、テニスを引退した後にビーチテニスを始めたりといったケースも増えてきているんです。

── 根幹には、日本のテニス業界を盛り上げたい思いがあったのですね。 一部の有名選手を除いて、ほとんどのテニスプレイヤーが試合だけでは食べていけない。そんな日本のテニス業界の状況をどうにかしたいと思っていましたし、その思いは今でも変わっていません。また、そのような思いを持ち続けているのは、Jリーグの初代チェアマンを務めた川渕三郎さんとの出会いが大きかったですね。実は、父と川渕さんには交流があり、そのご縁でお話を伺う機会があったんです。「プロの選手には何が必要だと思うか?」と問われ、「わかりません」と答えた私に、川渕さんは「プロには夢が必要なんだ」と。そして、「有名になってお金持ちになる。それがプロの夢だ」ともおっしゃっていました。当時はJリーグが立ち上がる前でしたが、川渕さんはそういった「プロの夢」を、日本のサッカー業界で実現された。その後のサッカー業界の発展は皆さんご存じの通りです。

── そういった「プロの夢」を、テニス業界で実現されようとしているのでしょうか。 その通りです。実際の取り組みのひとつとしては、2022年にClub MASAのメンバーでもある湘南美容クリニックの相川佳之先生とともに、『湘南美容クリニックPresents SBCドリームテニスツアー(以下SBCドリームテニスツアー)』という新たな国内大会を立ち上げました。日本の選手たちが、日本国内だけで千万単位の賞金を得ることができる大会は史上初。さらには多数のメディアご協力のもと、選手の知名度アップにも貢献できるものと考えています。大会名にもある通り、日本のテニス業界が「夢」のある世界になることを心から願うばかりです。保守的な風土が根強い業界ですので賛否両論ありますが、選手たちからは多くの喜びの声が届いていますし、この大会を続けていくことで、日本のテニス業界に私なりの恩返しをしていけたらと考えています。

テニスがつなぐ、人との出会い。

── これまでの人生を振り返られて、ご自身とテニスとの関係を、山田さんはどのように感じていらっしゃいますか? 改めて振り返ると、いつもテニスが生活の中心にあったように感じます。一方で、こんなことを言ってしまっては怒られるかもしれませんが、テニス業界に恩返しをしたい気持ちはあるものの、「テニスが大好きだ!」という情熱で動いているわけでもないんです。マサスポーツシステムで委託運営しているスクールは、40歳くらいでレッスンの現場から離れ、早々とマネジメントに回りましたからね。ただ、時間ができたらできたで、今度は「大学の監督や非常勤講師をやってくれないか」「テニスの新しいトーナメントをつくらないか」など、その都度テニスに関わるお話をいただくようになり、結果として、テニスがいつもそばにある人生を歩んできた。そんな感覚が強いですね。

── これまでの業界への貢献や、山田さんの人望の賜物のようにも感じます。 ありがとうございます。ひとつだけ自信を持って言えるのは、テニスを通じて多くの素敵な出会いをしてきたことです。皆さん、何か新しい取り組みをしようとなるとすぐに集まってくれますし協力的な方ばかり。テニスは“生涯スポーツ”として、健康維持・増進やメンタル強化といった効果があるとも言われていますが、一番の本質的な魅力はもしかしたら、テニスを通じた人との出会いにあるのかもしれないと私は感じています。ちなみに素敵な出会いといえば、OCA TOKYO館長の廣野さんと出会えたことも、私にとっては嬉しい出来事でした。

大切な人たちと一緒に、人生を謳歌する。

── ぜひ、OCA TOKYOの印象についても聞かせてください。 最初に見学に訪れた際のいい意味での驚きが、今でも印象に残っています。上質なインテリアやアートで彩られた空間はもちろん、スタッフの方々のホスピタリティも本当に素晴らしく、帰るときにはすでに入会申込書を書いていました(笑)。丸の内という都心の一等地で、これだけ落ち着ける空間があるのは奇跡だと思いますね。

── 今後、この場で「こんな企画をしてみたい」と考えていることはありますか? テニスに関わる方々や、テニスを好きな方々を集めた交流会をぜひやってみたいと思っています。そのほか、プロの選手を呼んで、トーナメントの試合解説をしてもらいながら、皆さんと一緒に観戦するような企画も楽しそうですね。SBCドリームテニスツアーに関していえば、ファイナルラウンドが年末に控えていますので、ぜひ皆さんにも楽しんでいただけたらと思っています。

── 最後に、山田さんが人生を謳歌するために大切にしているお考えを教えてください。 大切な人たちと一緒に楽しく、健康に生きていくことが大切だと考えています。大切な人たちとは、家族であり、テニスがつないでくれた仲間であり、出会ってきた方々でもあります。人生を彩ってくれるのは、自分の周りにいる大切な一人ひとりですから。だからこそ日々の出会いに感謝しつつ、私自身も目の前の方の人生を彩ることができる一人でいたいと思いますね。

山田 眞幹

マサスポーツシステム有限会社 代表取締役

テニスのメッカフロリダに留学するなど、世界を舞台に活躍した後、1990年にマサスポーツシステム有限会社を設立。以来、テニススクールの運営、トーナメントの企画運営、スポーツ選手向けの治療院経営など、幅広い領域でテニス産業の発展に貢献。同社の代表取締役のほか、日本テニス協会評議委員、日本ビーチテニス連盟会長、日本大学テニス部監督、日本大学生物資源科学部非常勤講師、日本大学文理学部非常勤講師、橘学苑評議委員なども務める。

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