OCA TOKYO BLOOMING TALKS 059

学びで、人生を謳歌する

Released on 2023.03.10

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

“人生が変わる学びの体験を世界に届ける”というミッションのもと、株式会社わたしのお教室を創業し、教えたい人と教わりたい人の最適なマッチングを実現する「manatea(マナティー)」を立ち上げられたOCA TOKYOメンバーの中屋昌太さん。ご自身もたくさんの習い事をしているだけあって、お話の中には「学び」に対する哲学をはじめ、人生の謳歌にもつながる数々のヒントがありました。

周りの幸せが、自分にとっての幸せ。

── まずは最初に、わたしのお教室を創業されるまでのお話を聞かせてください。 もともとは新卒入社した広告代理店で、大手企業をクライアントに、新規事業開発や商品開発からキャンペーンの企画、消費データの分析までを幅広く手がけていました。実は、これだけ幅広い領域を担当する広告マンはほとんどいません。広告代理業とは、基本的に担当する商品の広告クリエイティブをつくり、それをどのような媒体で、どのように露出するのかを設計する仕事ですから。ただ私は、新しい価値を創造し、しっかりと社会に届け切ることにこそ意味があると考えていたので、いつしか自然と「世の中の困りごとを解決する仕事をやりたい」「自分の周りを幸せにできる仕事がしたい」と思うようになっていきました。そうなってくると大企業に向き合う仕事ではこの目標を叶えることはできない。そんな思いから、2009年に最初の起業をすることになります。

── 困りごとを解決する。周りを幸せにする。そんな思いを抱いたのはどうしてでしょうか。 遡れば、私自身がキリスト教の一貫校出身であったことも大きいのかもしれません。熱心なクリスチャンだったわけではありませんが、毎日のように賛美歌を歌い、聖書を読む環境だったので、そのような価値観が自然に根づいていたように思います。その価値観が、社会人経験を積んでいく中で改めて輝き出したという感覚ですね。

── 2009年に起業した会社は、今の会社ではないともお聞きしました。 はい。このときに起業した会社は、わたしのお教室とはまったく異なるビジネスモデルの会社でした。投資家の方々からは高い評価をいただき、資金調達もスムーズだったのですが、ビジネスモデル自体が時代の先を行きすぎていたことや、リーマンショックの影響などもあり実はあまりうまくいかず、資本金がどんどん溶けていってしまったんです。心身ともに疲弊する経験でしたね…。

── その状態からどのように事業を再建していったのでしょうか。 起業家として様々な葛藤がありましたが、まずは事業を立て直すために、本来やりたかったモデルとは異なる方向性でビジネスをリスタートします。時流に合わせ、何よりも当時の創業メンバーの強みを活かすことに注力したことで、会社は右肩上がりの成長を続けていくことになります。その後同社は、2016年には東証マザーズ上場、2018年には東証一部上場を果たしました。

── 当初の思いを曲げつつも、まずは起業家としての責務を全うしたということですね。 そうですね。ただ、当然と言えば当然ですが、やはりもともとの思いは消えません。その後、この会社については他のメンバーにお任せして、改めてゼロからビジネスを立ち上げることを決意します。そうして2015年に創業したのが、株式会社わたしのお教室です。

その道のスペシャリストが、生活に困っているという現実。

── わたしのお教室で展開している「manatea」というサービスについても教えてください。 簡単に言うと、教えたい方と教わりたい方との最適なマッチングを実現する「学びのプラットフォーム」です。大きな特徴としては、講師と生徒がお互いの時間を合わせて行なうリアルタイムなレッスンだけでなく、時間を合わせなくても可能なレッスンが充実しているところ。例えば、ゴルフレッスンの場合、生徒がスイングの動画を自撮りして送ると、後日講師からフィードバックやチャットでのアドバイスが返ってくるような、お互いの空き時間を効率的に使いながら、教え・教わることができるメニューを用意しています。

── 教わる人だけでなく、教える側の負担のことも念頭に置かれた仕組みなんですね。 まさにそのあたりは、先述した「世の中の困りごとを解決したい」という思いを具現化したところですね。実は、アートや音楽、各種スポーツで活躍するようなスペシャリストの方々の中には、意外にも本職だけでは生活できていない現実があります。例えば、オリンピックに出場するような選手も普段はレッスンコーチをしていたり、世界的な音楽コンクールで受賞歴があるサックス奏者であっても演奏だけでは食べていけなかったり。私自身、多くの習い事を続けていたこともあって、教えてくださる先生たちの現実を肌で感じていました。だからこそ、一流のスペシャリストたちが人生を懸け、情熱を注いで経験してきたことを、学びたいと思っている人たちに効率よく届けられる場所をつくりたいと考えたんです。

── 教わる側にとっての、manateaならではの魅力があれば教えてください。 最大の魅力は、学びを継続できる仕組みがあることです。我々には“学びジャーニー”という独自の思想があるのですが、そこには6段階のステージがあって、特に最初の「思い立つ」と次の「始める」という2つのハードルを下げることを意識したサービス設計になっています。これも多くの習い事をした経験から言えることですが、やはり自らの意思で「思い立つ」ことは大切です。その前提があるからこそ「始める」へと進み、その後「変化を実感する」「夢中になる」「目標が叶う」といった第3・第4・第5のステージに到達できるのです。

── 学びジャーニーの第6ステージについても教えてください。 目標が叶った後、そこで終わりでもいいのですが、やはり継続的な学びを経験していただきたいので「新たな目標が見つかる」というステージを想定しています。そこから再び最初の「思い立つ」に戻るようなイメージです。興味のある学び、最適な講師、最適なレッスンを通じて、さらなる学習意欲を刺激する。そんな学びの循環を提供しながら、生徒の皆さんの気持ちに寄り添ったサービスにしていきたいと思っています。

継続的に学ぶことは、幸福感につながる。

── 現在も多くの習い事をされている中屋さんですが、これまでの経験の中で特に印象に残っている習い事はありますか? 長く続けているという意味では、3歳のときに始めたピアノです。当時はクラシックでしたが今はジャズピアノに夢中で、たまにライブで演奏することがあります。また、私自身の糧になっていると感じる学びでは、幼い頃に通っていた公文です。いまだに、ふと目に入った車のナンバーを四則演算するクセがありますから(笑)。それは冗談として、何事も定量的に物事を捉える感覚は、幼い頃の公文で培われたように思いますね。

── ちなみに、長続きしなかった習い事もあるのでしょうか。 もしかしたらあったかもしれませんが、自分の過去にまったく興味がないので忘れてしまいました。ただ1つ言えるのは、昔から資格勉強や受験勉強のようなゴールを決められた学びは“やらされている感”が先立ってしまうので好きではありませんでしたね。学びジャーニーで言えば「思い立つ」という出発点がないわけですから。思い立ってもいない学びを始めたとしても、継続的な学びには当然つながらないと思っています。

── 中屋さんの「継続的な学び」に不可欠な要素を教えてください。 先述の通り、まずは主体的に思い立つことが不可欠なのと、もう1つ重要なのは、自分の価値観や考え方を否定せず、寄り添ってくれる講師の存在。これがやはり大切だと思います。例えば、絵画を描いていて「私にはこの空がピンク色に見えます」という人もいれば「緑に見えます」という人もいる。それらを否定せず「そう思うよ」「その視点は素敵だね」と言ってくれるような講師の存在は、すごく心強いはずです。manateaが特化しているアートや音楽、スポーツなどのジャンルは、その多くが答えのない学びですから、なおさら自分にマッチした講師との出会いを提供していくためにサービスを進化させていきたいと考えています。

── 継続的に学ぶ人が増えると、その先にはどのような世界が広がっているとお考えでしょうか。 継続的に学ぶことを「生涯学習」という言葉で置き換えてお話をすると、日本の生涯学習率は先進国の中でもとりわけ低いのが現状です。さらに興味深いのは、生涯学習率と幸福度には相関性があるということ。例えばノルウェーなど、生涯学習率の高い国家は国民の幸福度が高いのに比べて、日本は幸福度も総じて低い。つまり、継続的に学ぶ人が増えれば、それだけ幸福度の高い人が増えていくと考えられます。ある意味、人生を謳歌するための手段の一つこそ「学び」であるとも言えそうですよね。とにかく当社としては、manateaを通じて、人々の幸福度の向上に貢献していきたいと考えています。

楽しみながら、学びと出会うきっかけを。

── OCA TOKYOについての印象や日頃の使い方などを教えてください。 実のところ内見するまでは、自分が使いこなすイメージが持てなかったのですが、実際に内見して即座に「この場所はいい!」と感じました。今ではサテライトオフィス代わりにミーティングをしたり会食をしたりと、自分でも驚くくらい頻繁に利用しています。ファシリティが素晴らしいですし、様々な用途に合わせて利用できる部屋が充実していて、実際に使えていない部屋を含めて今後も足を運ぶのが楽しみな場所ですね。

── OCA TOKYOで実施してみたい企画やイベントはありますか? やはり「学び」に関するイベントですね。けして堅苦しいものではなくコージーな雰囲気で皆さんと学びを楽しむような内容が合いそうですね。つい最近、江戸浄瑠璃の師範の方をOCA TOKYOのメンバーとしてご紹介したので、そういった文化・芸術方面に精通したメンバーを迎えた企画も面白いと思っています。

── 最後に、中屋さんが人生を謳歌するために大切にしていることは何ですか? 真っ先に浮かぶのは「家族」の存在です。ビジネスにおいて皆さんも様々なチームに所属しているかと思いますが、その一番コアにあるのが、家族というチームだと思うのです。ここが常に最強であれば、より大きな会社や地域といった括りの中でプレゼンスを発揮できると思いますから。事実、家族と一緒に食事を囲んだり一緒に旅に出たり、その中で「美味しい」や「楽しい」を共有したりすることがエネルギーになっています。もちろん「学び」が人生を謳歌する手段になると思っていますが、私の人生において必要不可欠なのは家族。最強で最愛のチームのおかげで、多くのことを学んでいるのかもしれないですね。

中屋 昌太

株式会社わたしのお教室 代表取締役社長

株式会社大広にて、大手企業向けの事業・ブランド戦略パートナーとして13年勤務した後、「世の中の困りごとを解決する仕事がしたい」という思いから起業。複数のスタートアップの創業及び代表取締役を経て、2015年1月、“人生が変わる学びの体験を世界に届ける”をミッションとする株式会社わたしのお教室を創業。教えたい人と教わりたい人の最適なマッチングを支援する「manatea(マナティー)」を運営するほか、自らも、3歳から続けているピアノをはじめ、茶道、DJ、靴磨き、そば打ち、ゴルフ、英会話など、多種多様な習い事を嗜む。

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