OCA TOKYO BLOOMING TALKS 060

透明な感性で、人生を謳う

Released on 2023.03.10

OCA TOKYO BLOOMING TALKS

BLOOMING TALKS

自然体でテーマと向き合い、出会いに感謝し、相手を思いやりながら、
会話が咲く。笑顔が咲く。発見が花開く。

そんなコンセプトでお届けするOCA TOKYO限定のWEBメディア。
「BLOOMING TALKS」

新鮮な出会いと、魅力ある人たちの言葉を通じて、人生を謳歌するヒントを発信していきます。

新しいこの場所で、きょうも、はなしを咲かせましょう。

現在複数企業の社外取締役を務めるOCA TOKYOメンバーの中尾 麗イザベルさん。これまで金融一筋だった人生が、2021年から大きく動き出したのだとか。そこにはどんなきっかけや考えがあったのか、そしてどんな未来を思い描いているのか。仕事だけでなく、プライベートも含めた人生観について、幅広くお話ししていただきました。

相手をリスペクトしながら、本心を伝える。

── まずは、イザベルさんが普段どんなお仕事をされているのかを教えてください。 現在は複数の企業で社外取締役を兼務しています。外資系金融機関で約15年培ってきた専門知識やマネジメント経験を活かして、各社の事業をサポートしています。また、常駐顧問としてかなりの頻度でオフィスに出社し、金融機関との交渉や折衝などを行なうのも私の仕事のひとつです。

── 現在のようなお仕事のスタイルに変わったきっかけは何だったのでしょうか? 世の中で大きなパラダイムシフトが起きている今、変化に富む金融業界とはいえ、同じ業界でずっと同様の専門性を磨き続けることに違和感を覚え始めたことがひとつです。慣れた仕事を続けることはある意味楽かもしれないけれど、最終的に、自由な生き方に本質としてつながらないのではないかと。社会人になりたての頃は経済的な自由と新たな経験を積むことを優先していたのですが、金融業界での学びが一巡した今は収入を増やすことだけではなく、新たな学び、新たな出会いを増やしていくほうが人生は豊かになり、より自由に生きられると思うようになって。最初に社外取締役のお話をいただいたときに「生き方として判断するべきことなのだ」と直感が働きました。金融のマーケットにも「この瞬間」という決断タイミングが時として現れるものですが、その見極める習慣が、自身の転職の場面でも活かされたのかもしれません。

── 現在はより多様な人たちとのコミュニケーションが必要になっていると思いますが、心がけていることなどはありますか? 自分が求めていることは基本的にわかってもらえない。それを前提に話すことです。コミュニケーションは、相手がいて初めて成立しますから。英語圏には「相手の靴を履く」なんて表現もありますが、とにかく相手の立場に立つこと。そして相手をリスペクトすること。そうすることで相手に安心感が生まれ、スムーズなやりとりができるようになります。これは相手が誰であっても関係ありません。「年下にも敬語を使い、平等に接する」といった形式的なものだけでは、意味のあるコミュニケーションは生まれないと個人的には思います。

── 意識しておかないと忘れがちであり、とても大切なことですよね。 そうですね。相手へのリスペクトはすごく大切です。最近はそれと同じくらい、自分の本心を伝えることも重要視しています。特に、初対面であれば余計に。ビジネスで長く一緒に過ごすのであれば、本心で語り合えない仲間では、最終的にいい仕事はできないと思うのです。それに自分の本心を出すことが、相手の本心を引き出すことにもつながる。最初からこれができれば、無駄な時間も省けますので、たとえ嫌われたとしても問題ありません。年齢を重ねていくと大抵の人とはうまくやり過ごせるようになっていきますが、そればかりでは誰のためにもなりません。リスペクトをしつつ、本心を伝えていくこと。このバランスが良質なコミュニケーションの基本だと思っています。

自分を理解することで、他者への理解も深まる。

── よりよい人間関係の構築に必要なスキルや考え方は、どのようなことから学んだのでしょうか? ビジネスをする上で学んだことも多いのですが、もとを辿れば幼少期からの体験は大きいかもしれません。約40年前の埼玉では、私のようなフランス人とのハーフは珍しく(笑)、公園で遊んでいると「ガイジンは砂場に入るな」とからかわれることもありました。ですからコミュニティに入ることにセンシティブになった反面、だからこそ自分のことを知ってもらう努力は無意識的にしていたでしょうし、理解してもらえれば何も問題なくなるというある種の成功体験も積み重ねてきました。そんなことを幼い頃から繰り返していたことが、コミュニケーションのよい訓練になっていたのかもしれません。

── ご両親からの教育も大きかったと思うのですが、印象的だった家庭での教えはありますか? 言葉、特に日本語に対してはすごく厳しかったですね。「言葉」という形式的なことで子どもが負い目を感じないようにという親心だったのかもしれません。最終的にはキッチンで夕食の支度をしている母に向けて、自分が気に入った新聞記事や本を延々と音読して聞かせたりと、国語も好きな教科でした。

── すごく大変な幼少期だったように感じますが、だからこそ現在のようなご活躍もあるのでしょうね。 いえいえ、とんでもないです。でもたしかに私とビジネスで関わる人たちからは、「日本人以上に日本人だね」とよく言われますね(笑)。あともうひとつ、子どもの頃の経験で得た大きな学びは、自分を深く理解することで、相手も同じ深度で理解できるようにもなるということです。私は昔からフランスのことを聞かれ続けてきましたし、逆にフランスに行けば日本のことを聞かれました。例えば「日本はこう」と話せば「それはフランスだとこう」と返ってきます。それを繰り返すうちに、お互いの理解が深まることが感覚的にわかったんですね。自分のことを深く考え、知った分だけ、相手のことが想像でき、理解につながるのです。

── イザベルさんには小学生のお子様がいらっしゃいますが、母親としてどのようなことを意識して子育てをしていますか? 先ほど本心を伝えることが大切とお話ししたように、子どもにも自分の思ったことを素直に表現してほしいので、同じことを伝えています。そこに気づく前の私がそうだったように、自分の思ったことや感じたことに蓋をすることを覚えると、自分が持っている固有の才能に気づけなくなったり、発揮することもできなくなってしまいます。子ども本人はもちろん、その周りの人の人生を豊かなものにするためにも、そこは外さないようにしています。

女性管理職の存在を「visible」にしていく。

── これからの人生、イザベルさんはどんなところを目指したいと考えていますか? 女性のキャリアアップと言いますか、人生の選択肢を増やす後押しができる存在でありたいです。その根底には、今まで経験させていただいたことに大変感謝しており、それを社会に還元していきたいという思いがあります。外資系の企業を卒業して改めて日本の企業を拝見すると、まだまだ管理職に就く女性が少ないと感じます。私個人の感覚では、男性8、女性2くらいです。最近、企業の役員などが集まるパーティーに参加することもあるのですが、気づいたら私が紅一点であることもしばしば…。これの何が問題かというと、管理職に若い女性が参考にできるロールモデルが少ないことです。仮に世の中に女性医師が1人もいなかったら、女性にとってお医者さんを「自然に目指せる職業」とするにはかなりハードルが高いと想像できるかと思います。男女問わずどんな仕事も自然に目指せる社会であるためには、やはり多様なロールモデルがある程度の絶対数社会に存在する必要があると思うのです。

── 具体的にどんな行動が必要だと考えていますか? 女性が管理職などのポストにいることがvisible、つまり“目に見える状態”を増やすことです。まさに今私が複数の企業で社外取締役に就いていることもそのひとつ。取締役なら世に名前が出ます。今日のようなインタビューをしていただけることも増え、多くの人の目に見えるようになります。私のような人が少しずつでも増えていけば「私もやってみよう」と気軽に思える人も増えるのではないでしょうか。日本の女性は「私なんてまだまだ」と、過剰に謙遜しがちです。でも落ち着いてよく考えてみてください。男女問わず完璧ではない上司は世の中たくさんいると思いませんか(笑)。自分の番だけ厳しいハードルを設定しないでください。挑戦できる環境なのであれば、ぜひ気負わずやってみるというのが私の考えです。それが多様なロールモデルを生み出し、いずれ後輩女性のためになるのですから。

── 女性のキャリアに関しては、共感して応援したり一緒に行動してくれたりする人も多そうですね。 正直、数はまだまだ足りないと思います。その数少ない同志の一人が、OCA TOKYOのメンバーでもある申真衣さんで、彼女に紹介していただきメンバーになりました。彼女は同じ職場で働いていた仕事仲間であり、今は子どもが同じ学校に通うママ友でもあります。彼女ほど近しい存在ではなくても、OCA TOKYOには女性のキャリアに関して共感してくれる人が多いような気がしましたし、そうした方との出会いも期待して利用させていただいている面もあります。この場所で、女性の横のつながりを築いていけたら嬉しいですね。

限られた人生で、できる限りの自分を発揮する。

── OCA TOKYOは普段どのように利用していますか? 仕事でちょっと集中したいとき、もしくは頭と体を休めたいときなどには1人で利用しますが、大抵は人と会う場所として利用していて、7階のレストランでも何回か会食をしていますね。あとは、街中のカフェと違って周りを気にせずオンライン会議もできるので、すごく便利ですね。図らずも話の内容が多岐にわたることもあるので、こういったプライベートクラブには安心感があります。

── OCA TOKYOの魅力をどんなところに感じていますか? ここは一歩足を踏み入れた途端に空気感が変わりますよね。美術、音楽、香りなど、すべてが計算されていて、リフレッシュできて、良いアイデアが見出せるようなエネルギーに満ちた空間だと感じています。通常のオフィスとはまるで異空間なので、ここに訪れること自体を楽しめます。私はアメリカンクラブにも入っているのですが、そちらは子どもや家族ありきで行くことが多く、自然とコミュニケーションも子どもの話がメインになりがちです。その点OCA TOKYOは完全に私個人として行ける場所なので、より自分自身にフォーカスできる場所として重宝しています。

── イザベルさんが人生を謳歌するために大切にしていることを教えてください。 感性を透明に保つことです。「謳歌」という言葉は時限性のあるものに使われると思うんですよね。つまり、その限られた時間をどう過ごすかが問われており、様々な経験を重ねることは人生を豊かにする手段のひとつである…と。ただ、生きていく中で本来の感性に余計なものが混ざり、何かに執着して大切なものを見失ってしまってはもったいないです。学んで得た知恵やスキル、処世術が知らずと邪魔をするんですね。そうではなくて、一切よどみのない感性で、自分が心動くほうへと素直に行動できることが、限りある人生を謳歌し幸せに生きるためには大切だと思っています。

── イザベルさんは、どんなことに心を動かしていきたいですか? 音楽や演劇が好きで、自分がプレイヤーだったこともありますし、ジャズライブや舞台を見に行くのも大好きです。芸術に限らず、人が己の才能をいかんなく発揮している場面を見るのは本当に気持ちよくて、奇跡に近いことだとも思っています。世の中、それができる人は多くないですから。だからこそ、私も私の持てる力を最大限発揮していくことで、これからの人生を謳歌、まさに歌い上げていきたいと思います。

中尾 麗イザベル

株式会社Gunosy 社外取締役

1981年、フランス人の父と日本人の母の間に生まれる。上智大学、パリ政治学院、大阪大学大学院を経て、2007年にUBS証券株式会社に入社。金融業界にてリーマンショックや過酷な出産からの復帰などを乗り越えつつ、ゴールドマンサックス、BNPパリバ証券等転職を重ねマネージャー経験を積む。現在は女性のキャリアアップ推進を体現するべく、株式会社Gunosy社外取締役、株式会社Grooves社外取締役、株式会社GA technologies顧問など、複数の企業において社外取締役や顧問などを兼任している。

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